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聖王伝  作者: 日和見


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12/22

良かったねワカバ

聖王伝 第12話 家に帰り、今日あった出来事を嬉々として母さんに報告した。けれど、お昼にオシャレなレストランでご馳走になった話が、どうやら母さんの遠慮に触れてしまったみたいだ。「ワカバ、明日は行っちゃダメよ。お兄ちゃんはお仕事で行っているの。あんまり我が儘を言って、皆さんのご迷惑になってはいけません」「ヤダヤダ! 明日も行くの! お兄ちゃんの応援するの!」ワカバは激しく駄々をこねて母さんを困らせている。僕は苦笑しつつも、間に入って優しくワカバの頭を撫でた。「ワカバ。明日、お兄ちゃんが皆さんに『ワカバがまた遊びに行きたいって言ってたよ』ってちゃんと伝えるから。……お母様、もし皆さんから許可を頂けたら、また連れて行ってもよろしいでしょうか?」母さんは「はぁ……」とため息を一つ吐いた後、困ったように微笑んだ。「……皆さんの許可が出たらね。その代わりワカバ、お兄ちゃんはお仕事で行っているんだってことを、絶対に忘れてはダメよ」「わーい! お兄ちゃん大好き!」ワカバが嬉しそうに僕の首に抱きついてくる。本当に可愛い妹だ。「お母様、ありがとうございます」「本当にご迷惑にならないかしら……?」心配そうな母さんに、僕は「多分大丈夫だと思いますよ。ワカバ、今日もすごく良い子でしたから」と太鼓判を押した。その後、ワカバと一緒に寝る前の体操をして、タオルで身体を清めてから温かいベッドに入った。◇翌朝。「おはようございます、お母様。ワカバもおはよう」挨拶を済ませて着替えた僕は、朝の走り込みへと出かけた。帰宅した後に、まだ眠そうなワカバと一緒に朝の体操をこなす。母さんの作ってくれた朝食をしっかりとお腹に収め、僕は装備を整えた。「では、行ってきます!」玄関を開けると、母さんとワカバが並んで見送ってくれた。ワカバは今日も一緒に行けないのが本当に不満なようで、これでもかと両のほっぺたをぷくーっと膨らませている。その顔に手を振って、僕は一人で待ち合わせの広場へと向かった。広場に到着すると、すでに「黒鷹の翼」のメンバーが全員揃っていた。けれど、なんだかいつもと様子が違う。「え〜〜……。ワカバちゃんは〜〜? 今日はいないの〜〜?」メディさんが、あからさまに肩を落としてブツブツと不満げな愚痴を零している。テイラーさんも心なしか寂しそうだ。リーダーのガッハさんが、申し訳なさそうに苦笑しながら僕の前に歩み寄ってきた。「あはは……すまないねカレハ君。見ての通り、みんなすっかりワカバちゃんロスになってしまっていてね。もし良ければなのだが……お母様に許可を貰って、今日もワカバちゃんを連れてきてもらえないだろうか?」「うむ、ワカバがいないと訓練所が寂しい」「俺も、あの子にまた解説してやりたいしな」ハオさんが深く頷き、テイラーさんも同意する。まさか大人たちの方から懇願されるとは思わなかった。僕は嬉しくなって、パッと笑顔を咲かせる。「ありがとうございます! 皆さんがそう言ってくださるなら、すぐに家へ連れに戻りますね!」「いやいや、こちらの我が儘に付き合わせてしまって悪いね。ありがとう、カレハ君。その間に僕たちは組合ギルドの訓練所の使用許可を取っておくから、ワカバちゃんを連れたら直接ギルドの建物の方に来ておくれ」「はい!」と良い返事をして、僕は今来た道を全力で引き返した。ワカバ、今頃お家で腐っているだろうから、この知らせを聞いたら飛び上がって喜ぶはずだ。家に到着し、息を切らせながら母さんに事情を説明すると、母さんは驚いた後に「あらあら……本当に温かい人たちに恵まれたのね、良かったわねワカバ」と、今度は快く送り出してくれた。「お兄ちゃん、やったぁー!」満面の笑みのワカバとしっかりと手を繋ぎ、僕たちは再びカルカラのギルドへと向かって歩き出した。大切な妹が見守ってくれる中での、特訓2日目。今日もコロコロと転がされる一日になりそうだけど、昨日以上に頑張れそうな気がして、僕の足取りはどこまでも軽かった。

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