パリ街歩き、スケッチの回
フランス研修旅行。
3日目。
朝。
パリのホテル。
「今日は街を歩きながらスケッチだね」
華子が予定表を見る。
歩美はすでにスケッチブックを持っていた。
「昨日から描きたい場所が多すぎる」
ルーブル美術館でたくさんの作品を見た後。
今日は、
パリの街そのものを観察する日。
先生が言う。
「建物だけを見るのではなく、人の暮らしや街の雰囲気も感じてください」
美術科らしい課題だった。
街へ出る。
石造りの建物。
大きな窓。
古い街灯。
カフェのテラス。
歩美は何度も足を止める。
「また止まった」
華子が笑う。
「だって全部絵になるんだもん」
パリは歴史ある建物や街並みが残る、世界的な観光都市として知られている。
午前。
生徒たちはそれぞれ好きな場所でスケッチを始める。
歩美は小さな広場を選んだ。
行き交う人。
木々。
建物の影。
日本とは違う空気。
鉛筆を動かす。
「難しい……」
華子が見る。
「でも楽しそう」
「うん」
描いている時間が楽しかった。
昼。
みんなで集合。
「何描いた?」
友達同士でスケッチを見せ合う。
「街並み」
「カフェ」
「教会」
それぞれ違う視点だった。
午後。
二人は川沿いを歩く。
「ここも描きたい」
「歩美、スケッチブック足りる?」
「足りないかも」
二人で笑う。
夕方。
ホテルへ戻る。
今日描いたスケッチを並べる。
建物。
街角。
人々の生活。
どれも日本では描けないものだった。
「フランスに来てよかったね」
華子が言う。
歩美は頷く。
「うん。もっと絵が好きになった気がする」
その頃。
明高荘。
あかりと奈緒は届いた写真を見る。
「すごい……」
「先輩たち、本当に毎日絵を描いてるね」
さやかも写真を見る。
「歩美さんらしい」
帰ってきたら、
どんな話を聞けるのか。
みんな楽しみにしていた。
パリの夜。
歩美は最後に一枚、
スケッチブックへ描き足す。
題名はまだ決まっていない。
でも、
高校二年生の冬に見た景色は、
ずっと忘れない思い出になる。




