遠野華子17歳になる
9月25日。
文化祭が終わり、少し落ち着きを取り戻した明高荘。
朝。
華子の部屋。
目覚ましが鳴る。
「……今日か」
華子はカレンダーを見る。
今日は、
遠野華子17歳の誕生日。
高校二年生になって半年。
明高荘での生活にもすっかり慣れていた。
朝食。
「おはよう」
華子が談話室へ行く。
すると、
「お誕生日おめでとう!」
突然クラッカー……ではなく、
拍手が起こる。
「びっくりした」
歩美が笑う。
「忘れてると思った?」
「少しだけ」
華子は照れる。
テーブルには、
さやかが作った料理。
家庭菜園の大葉を使った料理。
そして、
ちかが選んだプレゼント。
「これ!」
渡された袋。
中には小さなスケッチブック。
「絵を描く人だから」
ちかは得意そう。
「ありがとう」
華子は嬉しそうに受け取る。
学校。
美術科の教室。
友達からも祝福される。
「17歳か」
歩美が言う。
放課後。
美術科棟。
華子は新しいスケッチブックを開く。
文化祭が終わった後。
少しだけ気が抜けていた。
でも、
また新しい作品作りが始まる。
「何描こうかな」
窓の外を見る。
秋の空。
色づき始めた木々。
夏とは違う景色。
「秋も描いてみようかな」
その頃。
明高荘。
誕生日会の準備中。
さやかが料理を並べる。
「秋野菜も使ったよ」
「さすがさやか」
歩美が笑う。
りんとしずくも手伝っている。
ちかはケーキを待っている。
「まだ?」
「ちかは食べる係?」
「大事な係」
全員笑う。
夜。
誕生日会。
17本のろうそく。
「おめでとう、華子」
みんなの声。
華子は少し照れながら、
ろうそくを吹き消す。
「明高荘に来てよかった」
小さな声で言う。
歩美が聞く。
「何か言った?」
「秘密」
華子は笑った。
17歳。
高校生活もあと一年半。
楽しいことも、
大変なことも、
まだまだ待っている。
明高荘の秋の夜は、
温かい笑い声に包まれていた。




