フランス修学旅行準備の回
11月。
文化祭が終わり、秋も深まった頃。
明高荘。
朝。
歩美は学校から配られた資料を見ていた。
「フランス……」
華子も隣で見る。
「いよいよだね」
二人は美術科二年生。
今回の大きな行事は、
フランス美術研修旅行。
学校。
美術科の教室。
先生が説明する。
「海外研修になります。忘れ物がないように準備してください」
教室がざわつく。
「パスポート!」
「持っていく物多い!」
「飛行機初めて!」
みんな楽しみと緊張が入り混じっていた。
歩美。
「フランスの絵、本物が見られるんだよね」
華子。
「教科書で見た作品を直接見るってすごいよね」
美術科らしい会話だった。
放課後。
買い物リストを確認する二人。
「変換プラグ」
「防寒着」
「カメラ」
「スケッチブック」
歩美が一番大事そうに持ったのは、
新しいスケッチブックだった。
「やっぱり持っていくんだ」
華子が笑う。
「絶対描きたい」
パリの街並み。
古い建物。
美術館。
全部が新しい題材になる。
明高荘。
談話室。
旅行の話で盛り上がる。
「フランスかあ」
あけみが言う。
「すごいね」
涼子も驚く。
さやかも興味津々。
「どんな野菜売ってるかな」
「そこ?」
歩美が笑う。
ちかは別の方向だった。
「お土産!」
「まだ行ってないよ」
しずくが言う。
りんも笑う。
「でも楽しみだね」
夜。
歩美は荷物を少しずつ準備する。
夏の神鍋スケッチ合宿。
文化祭。
家庭菜園。
明高荘での毎日。
高校二年生の思い出が増えていく。
そして今度は、
日本を飛び出して、
本物の芸術に触れる旅。
「どんな景色なんだろう」
歩美はスケッチブックを閉じる。
出発の日まであと少し。
明高荘の二年生組に、
大きな思い出の旅が近づいていた。




