明高祭1日目の回
9月下旬。
ついに明高祭当日。
朝。
明高荘。
いつもより早く起きる歩美。
「緊張する……」
朝食を食べながらつぶやく。
「作品は完成してるんだから大丈夫」
華子が言う。
「そうだけど」
文化祭当日になると、
急に不安になるものだった。
その頃。
あかりは元気だった。
「文化祭だー!」
「朝からうるさい」
奈緒が言う。
しかし、
少し楽しみなのは奈緒も同じだった。
登校。
校門には大きな看板。
『明高祭』
生徒たちが忙しく行き来している。
展示会場。
歩美たちは最終確認を行う。
作品の位置。
説明カード。
体験コーナー。
問題なし。
「開場五分前!」
実行委員の声が響く。
みんな少し緊張した。
そして。
開場。
たくさんの来場者が入ってくる。
保護者。
卒業生。
近所の人たち。
「思ったより多い!」
歩美が驚く。
「だから言ったでしょ」
華子が笑う。
会場はすぐに賑やかになった。
「この絵きれい」
「神鍋高原かな?」
作品の前で足を止める人も多い。
歩美の作品、
『夏の収穫』
の前にも人が集まっていた。
「野菜だ」
「家庭菜園かな」
「楽しそうな絵だね」
その言葉を聞いて、
歩美は少し嬉しくなった。
昼前。
見慣れた顔が現れる。
さやか。
りん。
しずく。
ちか。
弓木家のみんなだった。
「来たよー!」
ちかは真っ先に歩美の作品へ向かう。
「トマト!」
「昨日も見たでしょ」
しずくが言う。
「今日も見る!」
好きらしい。
さやかは作品をじっくり眺める。
「ちゃんと大葉も描いてる」
「気付いた?」
「育てたからね」
少し誇らしそうだった。
昼休み。
談話室メンバーも到着。
あけみ。
涼子。
初美。
恵子。
つむぎ。
全員勢揃いだった。
「歩美の絵、よかったよ」
あけみが言う。
「ありがとう」
「お腹空いた」
あかりだった。
「さっき食べたでしょ」
奈緒が呆れる。
午後。
体験コーナーも大盛況。
子どもたちが絵を描く。
歩美たちが手伝う。
「上手だね」
「本当?」
笑顔があふれる。
気が付けば、
あっという間に夕方。
閉場時間。
「終わったー!」
あかりが椅子にもたれかかる。
「まだ一日目だよ」
奈緒が言う。
全員。
「あ」
忘れていた。
明高祭はまだ終わっていない。
明日は二日目。
さらに多くのお客さんが来る予定だった。
帰り道。
歩美は少し疲れていた。
でも。
楽しかった。
自分の作品を見てもらえた。
たくさんの人と話せた。
文化祭っていいな。
そう思いながら、
明高荘への道を歩くのだった。




