文化祭前日・展示準備大作戦の回
9月下旬。
文化祭前日。
朝から学校全体が落ち着かなかった。
「いよいよ明日だね」
歩美が言う。
「まだ実感ない」
華子が答える。
実感する暇もなかった。
展示準備が残っている。
放課後。
美術科棟。
完成した作品が次々と運ばれていく。
海の絵。
神鍋高原の風景。
花火大会。
夏の思い出が並んでいた。
歩美も自分の作品を抱える。
題名は、
『夏の収穫』
明高荘の家庭菜園が描かれている。
トマト。
キュウリ。
大葉。
とうもろこし。
そして収穫を喜ぶみんな。
「重い……」
「落とさないでよ」
華子が言う。
「それが一番怖い」
展示会場に到着。
机を並べる。
作品を飾る。
説明カードを置く。
あかりは脚立を持って走り回る。
「そっちテープ!」
「これ?」
「違う!」
少しだけ混乱していた。
奈緒は案内表示を作っている。
「奈緒、助けて!」
「今行く!」
結局みんなで手分けして準備した。
夕方。
ようやく展示が形になる。
「できた……」
歩美が会場を見渡す。
たくさんの作品。
たくさんの思い出。
夏の間に描いたものばかりだった。
すると。
「おー」
聞き慣れた声。
振り返ると、
さやかとしずくとちかがいた。
「見学に来た」
さやかが言う。
「前日なのに?」
「気になったから」
ちかは真っ先に歩美の作品へ向かう。
「トマトだ!」
「気付いた?」
「とうもろこしもいる!」
真っ先に野菜を見つけた。
さやかは少し離れて作品を見る。
「ちゃんと夏の思い出になってるね」
その言葉に、
歩美は少し嬉しくなった。
「さやかちゃんのおかげかも」
「私?」
「家庭菜園をやってなかったら描いてなかったから」
さやかは少し照れた。
「まあ、頑張ったのは歩美さんだけどね」
珍しく素直だった。
夜。
全ての準備が終わる。
先生が確認する。
「よし。明日だな」
みんなが頷く。
文化祭まであと一日だった。
帰り道。
歩美たちは少し緊張していた。
「お客さん来てくれるかな」
「来るよ」
華子が言う。
「楽しんでもらえるかな」
「大丈夫」
そして明高荘へ帰る。
談話室では、
あけみや涼子たちが待っていた。
「明日見に行くからね」
あけみが言う。
「頑張って」
涼子も笑う。
文化祭前夜。
期待と少しの緊張を胸に、
明高荘のみんなは眠りにつくのだった。




