2年目の文化祭の回
9月上旬。
二学期が始まって一週間。
講堂で文化祭説明会が開かれていた。
明石高校の文化祭「明高祭」では、展示や販売、舞台発表などが行われる。
「文化祭かあ」
歩美が言う。
去年は一年生だった。
右も左も分からないまま終わった。
でも今年は違う。
二年生である。
「何するんだろうね」
華子が聞く。
「楽しそうなやつがいい」
あかりが答えた。
教室。
さっそく文化祭の話し合いが始まる。
「候補は展示と販売です」
学級委員が黒板に書く。
クラスは一気に騒がしくなった。
「展示!」
「販売!」
「両方!」
無茶な意見も飛び出した。
歩美たち美術科のクラスは、
作品展示を中心にすることになった。
「やっぱり絵かな」
歩美が言う。
「それ以外ない気もする」
華子が笑う。
その頃。
あかりと奈緒の一年生クラス。
「お化け屋敷!」
「却下!」
「早い!」
あかりの提案は三秒で終わった。
放課後。
美術科棟。
文化祭展示用の作品制作が始まる。
「何描こうかな」
歩美は悩んでいた。
神鍋高原の風景。
大蔵海岸。
家庭菜園。
候補はたくさんある。
「家庭菜園は?」
突然後ろから声がした。
さやかだった。
「いつの間に」
「野菜の様子見に来た」
「でも今年の夏を描くなら家庭菜園もありだよ」
さやかは少し嬉しそうに言う。
「確かに」
歩美は少し考えた。
今年の夏は、
家庭菜園から始まり、
家庭菜園で終わったような気がする。
その日の夕方。
明高荘。
談話室。
文化祭の話題で盛り上がる。
「私たちも見に行きたいな」
あけみが言う。
「作品完成したらね」
歩美が答える。
「完成する?」
奈緒。
「するよ!」
「去年も同じこと言ってた」
華子が言った。
全員笑った。
文化祭まであと一か月。
楽しい文化祭になるか、
締切との戦いになるか。
それはまだ誰にも分からなかった。




