お盆休みの回
8月13日。
お盆休み。
多くの家庭では帰省やお墓参りをする時期だった。
朝。
明高荘は静かだった。
歩美たち高校生組の多くは実家へ帰省中。
純子も優子も帰省。
あかりと奈緒も帰省。
明高荘に残っているのは、
社会人組と弓木家くらいだった。
「静かだね」
初美が言う。
「普段が騒がしすぎるだけ」
恵子が答えた。
その頃。
弓木家。
ちかは朝から退屈していた。
「暇!」
「昨日も言ってた」
しずくが言う。
さやかは家庭菜園へ。
「トマト収穫するよ」
「行く!」
暇は一瞬で解決した。
畑。
真っ赤なトマト。
大きなキュウリ。
オクラ。
枝豆。
「いっぱいだ!」
ちかが歓声を上げる。
りんも収穫かごを持って手伝う。
「今年は本当に豊作だね」
「毎日水やりしたから」
さやかは少し得意げだった。
昼。
収穫した野菜で昼食。
トマトサラダ。
枝豆。
冷やしうどん。
「おいしい」
しずくが言う。
「自分たちで育てたからね」
さやかも満足そうだった。
午後。
帰省していた歩美から連絡が来る。
『おばあちゃんちでスイカ食べてる』
写真付きだった。
「ずるい」
ちかが言う。
すると、
華子からも連絡。
『従妹と花火した』
「もっとずるい」
ちかは不満だった。
その夜。
明高荘の談話室。
帰省していない住人たちが集まる。
あけみがクッキーを持ってくる。
涼子は仕事帰り。
初美と恵子も参加。
「みんな帰省中だから広く感じるね」
「確かに」
普段なら賑やかな談話室。
今日は少し落ち着いていた。
すると、
ちかが言う。
「早くみんな帰ってこないかな」
しずくが笑う。
「寂しいの?」
「ちょっとだけ」
素直だった。
数日後には、
また明高荘にいつもの賑やかな声が戻ってくる。
そう思いながら、
弓木家と明高荘のお盆休みの夜は静かに過ぎていくのだった。




