夏休み最後の談話室
8月31日。
夏休み最後の夜。
明高荘の談話室。
珍しく人が集まっていた。
歩美。
華子。
純子。
優子。
あかり。
奈緒。
あけみ。
涼子。
初美。
恵子。
つむぎ。
そして、
弓木家から
りん。
しずく。
ちか。
さやか。
ほぼ全員集合だった。
テーブルの上には麦茶。
お菓子。
スイカの残り。
夏休みらしい光景だった。
「終わっちゃうね」
歩美が言う。
「早かったなあ」
華子が答える。
「神鍋合宿がずいぶん前みたい」
あかりが言った。
「まだ一か月も経ってないよ」
奈緒が突っ込む。
純子は麦茶を飲みながら笑う。
「でも今年は色々あったね」
海水浴。
流しそうめん。
夏祭り。
花火大会。
家庭菜園の収穫祭。
思い出が次々に出てくる。
「トマトいっぱい採れたね」
りんが言う。
「キュウリも」
しずくが続ける。
「とうもろこし!」
ちかだけ方向性が違った。
「一番覚えてるのそれ?」
優子が笑う。
「おいしかったもん」
即答だった。
その頃。
涼子はソファでくつろいでいた。
「社会人になると夏休み短いから、高校生がうらやましい」
「分かる」
初美が頷く。
恵子も頷く。
社会人組は意見が一致していた。
あけみはお菓子を配る。
「最後だからクッキー焼いてきた」
「やった!」
あかりが真っ先に手を伸ばす。
「早い」
奈緒が言う。
「いただきます!」
談話室に笑い声が広がる。
外では虫の声が聞こえていた。
少し前まで鳴いていたセミも、
ずいぶん少なくなっている。
「秋が近いね」
華子が窓の外を見る。
歩美も頷いた。
長かった夏休み。
楽しいこともたくさんあった。
でも終わるとなると少し寂しい。
すると、
ちかが言った。
「冬休みまであと何日?」
全員。
「気が早い」
談話室は笑いに包まれた。
時計を見る。
もうすぐ夜十時。
明日から学校。
「そろそろ寝るか」
純子が立ち上がる。
「だね」
みんなも席を立つ。
帰り際。
歩美は振り返って談話室を見た。
今年の夏も、
ここでたくさん笑った。
二学期もきっと、
この場所にみんなが集まるだろう。
そう思うと少し楽しみになった。
こうして明高荘の夏休み最後の夜は静かに更けていく。
そして明日から、
新しい二学期が始まるのだった。




