夏休み最後の宿題追い上げの回
8月30日。
夏休み終了まであと二日。
明高荘。
静かだった。
異常なくらい静かだった。
「終わらない……」
歩美が机に突っ伏していた。
「まだあるの?」
華子が聞く。
「読書感想文」
「ああ」
納得だった。
夏休みの宿題として、読書感想文や自由研究、ドリルなどが定番となっている。
その頃。
弓木家。
ちかも机に向かっていた。
珍しい光景だった。
「終わらない……」
こちらも同じだった。
「何が残ってるの?」
しずくが聞く。
「自由研究」
「まだやってなかったの!?」
「観察はしてた!」
それは本当だった。
家庭菜園の観察ノートだけは、
毎日しっかり書いていた。
「まとめるのが残ってる」
「そこが一番大事なのに」
りんが呆れる。
午前中。
明高荘の談話室は、
即席の勉強部屋になっていた。
歩美。
華子。
あかり。
奈緒。
全員集合。
「終わった?」
歩美が聞く。
「終わってない」
あかり。
「終わってない」
奈緒。
「終わってない」
全滅だった。
一方。
純子と優子。
受験生なので、
とっくに終わっていた。
「計画的って大事だね」
純子が言う。
「去年のあなたには言われたくない」
優子が返した。
午後。
ちかが自由研究を持ってやって来る。
題名。
『明高荘家庭菜園観察記録』
「立派じゃない」
歩美が言う。
「でしょう!」
急に元気になった。
ページをめくる。
トマト。
キュウリ。
枝豆。
オクラ。
とうもろこし。
大葉。
写真やイラスト付きだった。
「ちゃんとやってる」
奈緒も感心する。
「毎日見てたから!」
そこだけは本気だった。
夕方。
あかり。
「終わったー!」
ついに宿題完了。
「おめでとう」
拍手が起きる。
その十分後。
歩美も終了。
さらに華子も終了。
残るは奈緒。
「あと一ページ」
全員が見守る。
数分後。
「終わった」
拍手。
大歓声。
なぜか達成感がすごかった。
夜。
ちかも自由研究を完成させる。
「終わったー!」
夏休み最後の勝者だった。
縁側。
歩美たちは夜風に当たっていた。
「夏休み終わっちゃうね」
歩美が言う。
「早かった」
華子が頷く。
神鍋合宿。
海水浴。
流しそうめん。
夏祭り。
花火大会。
たくさんの思い出ができた。
「でも二学期も楽しみだね」
あかりが言う。
「まずは始業式だけどね」
奈緒が答えた。
こうして、
宿題との長い戦いは終わった。
そしていよいよ、
新学期が始まろうとしていた。




