弓木家の夏休み
8月。
明高荘の住人たちがそれぞれ夏休みを楽しむ中、
弓木家も賑やかな毎日を送っていた。
朝。
「暑いー!」
ちかが縁側に転がる。
「朝から元気だね」
しずくが言う。
「元気じゃない。暑い」
意味が分からなかった。
さやかは家庭菜園の水やり中。
トマト。
キュウリ。
ナス。
オクラ。
枝豆。
バジル。
夏野菜はまだ元気だった。
「トマトまた赤くなってる」
りんが収穫かごを持ってくる。
「今年は本当に豊作だね」
朝の収穫だけでかごがいっぱいになった。
昼前。
しずくは宿題。
りんは読書。
さやかは野菜の手入れ。
ちかは。
「暇!」
まだ宿題が残っていた。
「先に宿題しなさい」
三人同時だった。
午後。
ちかはしぶしぶ机へ向かう。
算数。
国語。
自由研究。
「自由じゃない」
「名前だけだから」
しずくが言う。
自由研究は家庭菜園の観察に決まった。
「毎日見てるし」
「それが一番得意でしょ」
確かにそうだった。
夕方。
明高荘の住人たちも庭へ集まる。
歩美。
華子。
純子。
優子。
あかり。
奈緒。
みんな夏休み中だ。
「スイカ買ってきたよ」
涼子が仕事帰りに持ってきた。
「やったー!」
ちかが飛び跳ねる。
その結果。
急きょスイカ割り大会が始まった。
最初はあかり。
「いきます!」
全然違う方向だった。
「そっちじゃない!」
次はちか。
目隠しをして歩く。
三歩。
五歩。
なぜか縁側へ向かった。
「スイカ逃げた!」
「逃げてない」
奈緒が言った。
最後は歩美。
見事命中。
パカッ。
拍手。
大歓声。
夜。
みんなでスイカを食べる。
「甘い!」
「夏だね」
華子が言う。
風鈴が鳴る。
遠くから花火の音も聞こえた。
ちかは縁側で空を見上げる。
「夏休み終わらなければいいのに」
「毎年言ってる」
しずくが笑う。
「だって楽しいもん」
その言葉に、
りんもさやかも少し笑った。
宿題はある。
暑い日も続く。
それでも、
家族や明高荘のみんなと過ごす夏休みは特別だった。
こうして弓木家の夏休みは、
今日ものんびりと賑やかに過ぎていくのだった。




