雨の日の談話室
# 明高スケッチ
## 「雨の日の談話室」
6月のある日。
朝から雨が降り続いていた。
休日なのに外へ出る気になれず、明高荘の住人たちは自然と談話室へ集まっていた。
「よく降るねえ」
窓の外を眺めながら林歩美が言う。
「梅雨だからね」
遠野華子は本を読みながら答えた。
テーブルでは山下純子と島居優子がトランプをしている。
東ゆりは雑誌を読み、星野あけみは紅茶を飲んでいた。
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「暇だなあ」
歩美がつぶやく。
「さっきからそればっかり言ってる」
華子が苦笑した。
「だって暇なんだもん」
「じゃあ何かする?」
純子が聞く。
歩美は少し考えた。
「しりとり」
「却下」
即答だった。
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その時、談話室のドアが開いた。
「こんにちはー」
弓木さやかだった。
手には紙袋を持っている。
「何それ?」
歩美が尋ねる。
「ドーナツです」
「おお!」
一気に全員の視線が集まった。
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紙袋の中にはいろいろな種類のドーナツが入っていた。
チョコ。
シュガー。
抹茶。
きなこ。
「すごい」
「どれにしようかな」
みんなが選び始める。
歩美は真っ先にチョコを取った。
「予想どおり」
華子が笑う。
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おやつを食べながら、みんなで雑談が始まった。
最近見たテレビ番組。
学校の出来事。
夏休みの予定。
話題はころころ変わる。
「夏になったら海行きたいな」
歩美が言う。
「人多そう」
優子が答える。
「でも泳ぎたい」
「まだ6月だよ」
ゆりが笑った。
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気が付くと雨は少し弱くなっていた。
窓の外には薄い明るさが戻っている。
「晴れてきたかな」
「明日は天気いいらしいよ」
「じゃあ買い物行こうかな」
そんな何気ない会話が続く。
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夕方になると、一人また一人と自室へ戻っていった。
最後に残った歩美は、静かになった談話室を見回した。
特別なことは何もなかった。
ドーナツを食べて、おしゃべりをしただけ。
でも、それが楽しかった。
「また明日もここに来よう」
そうつぶやきながら、歩美も部屋へ戻っていった。
雨の日の談話室は、今日もいつもどおり穏やかな時間が流れていた。




