神鍋高原スケッチ合宿2日目の回
8月上旬。
神鍋高原スケッチ合宿2日目。
午前6時。
「眠い……」
最初に起きたのは歩美だった。
隣ではあかりがまだ寝ている。
「あと五分……」
「もう起床時間だよ」
奈緒が言う。
「五分だけ……」
結局起きた。
朝食。
「今日は一番進める日だからな」
先生が言う。
1日目は下描き中心。
2日目は本格的な制作の日だった。
「頑張ろう」
歩美が言う。
「おー!」
あかりだけ元気だった。
午前。
それぞれの制作場所へ向かう。
歩美は昨日と同じ山並み。
少しずつ色を重ねていく。
「昨日より良くなってる」
自分でもそう思えた。
華子は木陰と古い民家を描いている。
光の当たり方を何度も確認する。
「難しいなあ」
しかし楽しそうだった。
奈緒は静かに筆を動かす。
無駄がない。
着実に進んでいる。
そして。
あかり。
「先生!」
「どうした?」
「山が入りきりません!」
まただった。
「昨日と同じこと言ってる」
奈緒が呆れる。
昼食。
木陰で休憩。
「肩が痛い」
歩美。
「腰も痛い」
華子。
「足も痛い」
あかり。
「全部じゃない」
奈緒が言った。
午後。
さらに制作。
太陽は高い。
セミの声が聞こえる。
風が気持ちいい。
集中していると時間が早い。
気付けば夕方だった。
「おお」
歩美がキャンバスを見る。
昨日よりかなり完成に近づいている。
華子も満足そうだった。
「明日で仕上がりそう」
奈緒も順調。
あかりもなんとか山を収めることに成功していた。
「勝った」
「何に?」
歩美が聞く。
本人にもよく分かっていなかった。
夜。
夕食後。
今日は合評会の前段階として、
みんなで途中経過を見る時間があった。
他の生徒の作品も見て回る。
「すごい」
歩美が感心する。
同じ景色なのに、
描く人によって全然違う。
「面白いね」
華子が言う。
「うん」
あかりも真剣な顔で見ていた。
宿へ戻った後。
自由時間。
トランプ大会が始まる。
「大富豪!」
「負けない」
なぜか奈緒が強かった。
「また一位」
「まただ」
あかりは最下位だった。
「絵なら負けないのに」
「だから競技が違う」
歩美が笑った。
消灯前。
窓の外。
満天の星空。
歩美たちは少しだけ外を眺める。
「明日で最後か」
「早いね」
華子が言う。
「帰ったらちかちゃんが待ってるよ」
「たぶん『お土産!』って言う」
奈緒が答えた。
全員。
「絶対言う」
また満場一致だった。
こうして神鍋高原スケッチ合宿2日目は終了。
残るは最終日。
作品完成まであと少し。
果たして四人は納得のいく絵を仕上げられるのだろうか。




