とうもろこしに異変!?の回
歩美の誕生日から数日後。
放課後。
ちかはいつものように家庭菜園の見回りをしていた。
トマト。
よし。
キュウリ。
よし。
ナス。
よし。
そして。
とうもろこし。
「ん?」
ちかが立ち止まる。
「なんか出てる」
慌てて家の中へ走る。
「さやかお姉ちゃーん!」
「どうしたの?」
「とうもろこしが壊れた!」
「壊れた!?」
さやかが飛び出す。
家庭菜園へ到着。
とうもろこしを見る。
そして。
「ああ」
笑った。
「壊れてないよ」
「え?」
とうもろこしの先端には、ススキのような穂が出ていた。
「これ花だよ」
「花!?」
そこへ歩美たちも帰ってきた。
「何かあったの?」
「とうもろこしが壊れたらしい」
「らしいじゃない!」
ちかが抗議する。
みんなで観察する。
「へえー」
歩美が見上げる。
「花っぽくないね」
華子も不思議そうだ。
翌日。
また事件が起きた。
「今度こそ壊れた!」
ちかが再び大騒ぎ。
さやかは落ち着いて外へ出る。
「今度は何?」
「ヒゲ!」
とうもろこしの途中から、
黄緑色の長いヒゲが出ていた。
「ああ」
「また壊れてない?」
「壊れてない」
とうもろこしのヒゲは雌花の一部で、一本一本が実につながっている。
「全部実になるの?」
あかりが聞く。
「受粉すればね」
「すごい」
ちかはヒゲをじっと見つめる。
「とうもろこしって不思議」
「野菜はだいたい不思議だよ」
奈緒が言った。
数日後。
さらにヒゲが増えた。
「すごい!」
「とうもろこしっぽくなってきた!」
ちかは毎日報告する。
「今日もヒゲあった!」
「昨日もあったよ」
華子が言う。
夕方。
仕事帰りの涼子も畑を見る。
「もうすぐだね」
「まだ食べられないけどね」
さやかが言う。
すると。
「えー」
ちか。
あかり。
つむぎ。
三人が同時に残念そうな顔をした。
「食べることしか考えてない」
歩美が笑う。
その頃。
トマトも次々に赤くなり、
ナスも実をつけ始め、
キュウリも収穫ラッシュ。
家庭菜園は一年で一番賑やかな季節を迎えようとしていた。
そしてその夜。
ちかは日記に書いた。
『とうもろこしは壊れていなかった。ヒゲだった。』
『早く食べたい。』
結論はいつも同じだった。




