歩美、17歳になる
6月15日。
今日は歩美の誕生日だった。
朝。
101号室。
歩美が目を覚ます。
「17歳かあ」
去年の誕生日がついこの前のような気がする。
制服に着替えて部屋を出る。
すると。
ドアの前に小さな紙袋が置いてあった。
「?」
中を見る。
お菓子だった。
『誕生日おめでとう』
華子の字だった。
「朝早いなあ」
少し笑う。
学校へ向かう途中。
「歩美、誕生日おめでとう!」
華子が言う。
「ありがとう」
「あ、おめでとうございます!」
あかりも続く。
「17歳ですね!」
「うん」
奈緒も小さく頭を下げた。
「おめでとうございます」
少し照れくさかった。
放課後。
歩美が明高荘へ帰る。
玄関を開ける。
すると。
「お誕生日おめでとうー!」
クラッカーが鳴った。
「うわっ!」
びっくりして後ずさる。
犯人は純子だった。
「成功!」
「驚かせるのが目的じゃないでしょ」
優子が言う。
談話室には住人たちが集まっていた。
純子。
優子。
華子。
あかり。
奈緒。
あけみ。
涼子。
初美。
恵子。
つむぎ。
そしてちか。
「歩美お姉ちゃんおめでとう!」
ちかが飛びつく。
「ありがとう」
テーブルの上にはケーキ。
あけみが作った手作りケーキだった。
「すごい!」
「昨日の夜作ったんです」
「ありがとう!」
みんなで席につく。
「それでは」
純子が立ち上がる。
「歩美ちゃん17歳のお誕生日を祝して!」
「乾杯!」
ジュースのコップがぶつかる。
お祝い会の始まりだった。
ケーキを食べながら話す。
「17歳の目標は?」
涼子が聞く。
「えっ」
急な質問だった。
歩美は少し考える。
「勉強も頑張って」
「うんうん」
「楽しい一年にしたいです」
「それが一番だね」
初美が笑った。
その時。
ちかが小さな包みを渡す。
「これ!」
「私から!」
中には手作りのしおりが入っていた。
色鉛筆で絵も描かれている。
「かわいい」
歩美は嬉しそうに笑った。
「ありがとう」
ちかは満足そうだった。
夕方。
お祝い会も終わりに近づく。
外へ出ると、
家庭菜園のトマトが夕日に照らされていた。
赤い実が少しずつ増えている。
「去年は16歳」
歩美がつぶやく。
「今年は17歳」
当たり前のことだけど、
少しだけ特別に感じた。
明高荘で迎える二度目の誕生日。
友達や住人たちに囲まれた、
賑やかで温かい一日だった。
そして帰り際。
純子が言った。
「来年は18歳だね」
「まだ先だよ」
「じゃあ来月やろう」
「何を?」
「誕生日会」
「早すぎる」
みんなの笑い声が、夕暮れの明高荘に響くのだった。




