テスト前日の回
5月下旬。
明日はついに中間テスト初日。
明高荘の高校生たちは、それぞれ最後の追い込みをしていた。
日本の高校では、テスト前日に勉強時間を増やして最終確認をする生徒も多い。
101号室。
歩美は教科書とノートを机に並べていた。
「よし」
「今日は早めに寝よう」
計画的だった。
そこへ華子がやって来る。
「勉強終わった?」
「だいたいね」
「えらい」
「華子は?」
「まだ」
全然えらくなかった。
102号室。
華子の机には本が積まれていた。
「それ参考書?」
歩美が聞く。
「違う」
「小説」
「勉強しなさい」
その言葉には説得力があった。
201号室。
純子は必死だった。
「覚えられない!」
「昨日も言ってたね」
優子が言う。
「昨日より覚えられない!」
「そんなことある?」
純子は英単語帳を見つめる。
三分後。
寝ていた。
「早いなあ」
優子は慣れていた。
203号室。
あかりは机に向かっていた。
「明日終わったら遊べる」
「まだ始まってない」
奈緒が言う。
「それを楽しみに頑張るの!」
前向きだった。
204号室。
奈緒は落ち着いて問題集を解いていた。
「奈緒ちゃん余裕そう」
「余裕じゃないよ」
そう言いながら手は止まらない。
夕方。
談話室。
なぜか最後の勉強会が開かれていた。
歩美。
華子。
純子。
優子。
あかり。
奈緒。
全員集合。
そこへ仕事帰りの涼子が現れる。
「みんな頑張ってるね」
「テスト前ですから」
「懐かしいなあ」
初美も言う。
「社会人になるとテストはないけど」
「別の大変さがあるよね」
恵子が続ける。
三人とも少し遠い目をしていた。
夜。
勉強会終了。
みんな自分の部屋へ戻る。
歩美は筆箱を確認。
華子はようやく教科書を閉じる。
純子は目覚ましを三つセット。
優子はその確認。
あかりは受験票……ではなく生徒手帳を確認。
「テストだから受験票はいらないよ」
奈緒が言った。
「そうだった」
危なかった。
就寝前。
窓の外では家庭菜園のトマトやとうもろこしが静かに揺れている。
「明日頑張ろう」
歩美がつぶやく。
同じ頃、
明高荘のあちこちで同じような言葉が聞こえていた。
そして翌朝。
最初に寝坊しかけたのは純子だった。
「起きてーーー!」
という優子の声が明高荘に響くのだった。




