中間テストが近づく回
5月中旬。
ゴールデンウィークも終わり、明石高校には少しずつ緊張した空気が流れ始めていた。
放課後。
明高荘へ帰る道。
「中間テストだって……」
あかりが空を見上げた。
「現実逃避してる」
奈緒が言う。
「だって入学したばっかりじゃん!」
「もう一か月経ったよ」
残酷な事実だった。
101号室。
歩美は机に教科書を広げていた。
「今年は二年生だからなあ」
去年より少し難しくなっている。
そこへ華子がやって来る。
「勉強してるの?」
「してるよ」
「偽物?」
「本物です」
失礼だった。
一方。
201号室。
純子は机に向かっていた。
珍しい光景だった。
優子が驚く。
「熱でもある?」
「受験生だから!」
「それ昨日も聞いた」
純子は数学の問題集を開く。
五分後。
「分からん」
早かった。
203号室。
あかりはノートを見つめていた。
「英語多くない?」
「普通だと思う」
奈緒が答える。
「中学より増えてる!」
「高校だからね」
あかりは机に突っ伏した。
その頃。
弓木家。
ちかは宿題をしていた。
「みんな勉強してるね」
「テスト前だからね」
さやかが答える。
「高校生って大変」
小学6年生のちかにはまだ遠い世界だった。
夜。
明高荘の談話室。
なぜか勉強会が始まっていた。
歩美。
華子。
あかり。
奈緒。
純子。
優子。
高校生組が集まる。
「ここ分からない」
「それはこう」
「なるほど!」
奈緒があかりに教える。
「奈緒ちゃん先生だ」
歩美が笑う。
すると純子が言う。
「私も質問!」
「何?」
「この問題」
優子が見た。
「名前書く欄だよ」
「ほんとだ」
みんなが笑う。
そこへ仕事帰りの涼子が現れた。
「勉強会?」
「テスト前です」
歩美が答える。
「懐かしいなあ」
初美と恵子も加わる。
「学生って大変だね」
「社会人も大変そうですけど」
奈緒が言う。
三人は顔を見合わせた。
「それはそう」
全員一致だった。
夜も更ける。
勉強会は解散。
帰り際。
あかりが言った。
「テスト終わったら遊ぼう!」
「まだ始まってもないよ」
奈緒が呆れる。
でも少し笑っていた。
窓の外では初夏の風が吹いている。
家庭菜園のトマトは少し赤くなり始め、
とうもろこしも順調に育っていた。
そして明高荘の高校生たちは、
それぞれの机に向かいながら中間テストの日を迎えるのだった。




