林山寛子のエピソード
林山寛子は明高荘204号室に住む高校3年生。
穏やかでマイペースな性格で、住人たちからは「なんだか落ち着く人」と思われている。
趣味は読書とお茶。
休日になると部屋で本を読みながらゆっくり過ごしていることが多い。
ある休日。
歩美が204号室を訪ねた。
「寛子先輩いますか?」
「どうぞー」
中に入ると、部屋には本棚と小さなティーセットが置かれていた。
「なんか落ち着く部屋ですね」
歩美が言う。
「そう?」
「図書館みたい」
寛子は少し笑った。
「お茶飲む?」
気が付くと歩美はお茶を飲みながら学校の話をしていた。
不思議なことに、寛子と話していると自然に話が続く。
その後も、
華子が来たり、
優子が来たり、
純子が来たりする。
特に純子はよく来る。
「寛子さん!」
「どうしたの?」
「特に用事はない!」
「そう」
それでも追い返さない。
純子はお茶を飲み、
本棚を眺め、
満足して帰る。
文化祭前日。
みんなが慌ただしく準備している中でも、寛子は落ち着いていた。
「焦っても準備は終わらないからね」
その言葉に後輩たちは少し安心する。
文化祭当日も、
困った後輩がいると自然に声を掛ける。
目立つタイプではない。
でも周囲をよく見ている。
秋になると読書の時間が増える。
ある日。
華子が本棚を見て驚いた。
「これ全部読んだの?」
「だいたい」
「すごいなあ」
「同じ本を何回も読むこともあるよ」
華子には少し理解できなかった。
冬。
クリスマス会。
プレゼント交換でブックカバーをもらう。
「寛子先輩にぴったり」
歩美が言う。
「大事に使うね」
嬉しそうに笑った。
大掃除の日。
本棚の整理をしていると昔のしおりが出てきた。
「懐かしいなあ」
高校入学の頃から使っていたものだった。
気付けば高校生活も残りわずか。
それでも寛子はいつも通り。
お茶を飲み、
本を読み、
住人たちの話を聞く。
賑やかな明高荘の中で、204号室は少しだけ時間の流れがゆっくりだった。
歩美はよく思う。
「寛子先輩の部屋に来ると落ち着くなあ」
それは他の住人たちも同じだった。
今日も204号室にはお茶の香りが漂う。
そして誰かがふらりと訪ねてくる。
林山寛子にとって明高荘は、
騒がしくて、
賑やかで、
そしてとても居心地の良い場所なのであった。




