東ゆりのエピソード
東ゆりは明高荘203号室に住む高校3年生。
落ち着いた性格で、住人たちの中では比較的しっかり者だ。しかし真面目すぎるわけではなく、みんなの騒ぎを少し離れたところから見守りながら楽しんでいる。
ゆりの大きなテーマは「受験」である。
高校3年生になってからは参考書や問題集と向き合う時間が増え、共通テストや大学受験に向けて勉強を続けていた。
しかし明高荘は静かな場所ではない。
純子が騒ぎ、優子が何かを落とし、華子がツッコミを入れ、歩美が巻き込まれる。
「静かに勉強したいんだけどなあ」
そう言いながらも、ゆりはどこか楽しそうだった。
文化祭の時期。
ゆりは高校3年生なので準備の中心ではなかったが、後輩たちの様子を見守っていた。
慌てる歩美。
張り切る純子。
そんな姿を見ながら、
「去年は私たちもこんな感じだったな」
と懐かしく思う。
クリスマス会では受験勉強のことを忘れてみんなと過ごした。
プレゼント交換ではブランケットを受け取り、
「受験勉強で使えるね」
と笑顔を見せた。
その日だけは参考書を閉じ、普通の高校生として楽しい時間を過ごした。
年が明けると受験本番。
共通テストの日が近づくにつれ緊張も大きくなる。
それでも明高荘のみんなは、
「頑張って!」
「応援してる!」
と声をかけてくれた。
ゆりは一人で戦っているわけではなかった。
受験当日の朝。
歩美たちに見送られながら会場へ向かう。
試験は簡単ではなかった。
しかし終わったあとに明高荘へ戻ると、
みんなが「お疲れさま」と迎えてくれた。
その瞬間、張りつめていた緊張が少しだけほどけた。
普段は冷静なゆりだが、実は住人たちとの時間をとても大切にしている。
勉強に疲れた時は寛子とお茶を飲み、
華子のツッコミに笑い、
歩美の成長を見守る。
明高荘の日常は、受験勉強の忙しさの中でも大切な居場所だった。
卒業が近づく頃。
ゆりは少し寂しさを感じ始める。
毎日顔を合わせていた住人たち。
何気ない会話。
賑やかな夕食会。
それらが当たり前ではなくなるからだ。
それでも前に進まなければならない。
受験生として。
高校3年生として。
そして明高荘の先輩として。
東ゆりは今日も203号室で参考書を開く。
廊下から聞こえる住人たちの声に少しだけ笑いながら。
「うるさいなあ」
そう言いつつ、
その賑やかさがなくなる未来を、まだ少し想像したくないのであった。




