歩美ちゃんのお正月
1月1日。
元日の朝。
林歩美は実家のこたつで目を覚ました。
「……あけましておめでとう」
まだ少し眠そうな声で言う。
すると家族から、
「おめでとう」
「今年もよろしく」
と返ってきた。
居間にはおせち料理が並んでいた。
黒豆。
かまぼこ。
伊達巻。
栗きんとん。
お正月らしい料理が並ぶ。
「いただきます」
歩美はまず黒豆を食べる。
「やっぱりお正月って感じするなあ」
テレビでは新年の特番が流れている。
外は静か。
普段の学校生活とはまるで違う。
昼前。
家族と近所の神社へ初詣に行く。
日本では新年に神社や寺へ参拝する「初詣」が広く行われている。
「人多いね」
歩美が言う。
「みんな考えることは同じだからな」
父が笑う。
参拝を済ませる。
歩美は目を閉じてお願い事をした。
「今年も楽しく過ごせますように」
受験生ではないので、願い事は割と気楽だった。
帰宅後。
今度はお年玉タイム。
「はい」
親戚から封筒を受け取る。
「ありがとうございます」
中身は確認しない。
一応。
部屋へ戻ってから確認する。
「おお」
思ったより入っていた。
夕方。
スマホを見る。
明高荘のグループチャットが賑やかだった。
ゆり
『勉強で寝不足』
寛子
『私も』
純子
『あけおめー!』
優子
『今年も騒がしそう』
華子
『それは確実』
涼子
『ピザ食べ過ぎた』
あけみ
『お餅食べ過ぎた』
恵子
『モチ食べすぎた』
初美
『寝正月です』
つむぎ
『私もです』
歩美は思わず笑った。
実家で過ごしていても、みんなの顔が浮かぶ。
「早く明高荘に戻りたいな」
ふとそんなことを思った。
夜。
家族と一緒にのんびりテレビを見る。
窓の外には冬の星空。
去年は文化祭があった。
家庭菜園もあった。
クリスマス会もあった。
楽しいことがたくさんあった。
「今年はどんな一年になるんだろう」
歩美は少しだけわくわくしながら、みかんをひとつ手に取った。
新しい一年の始まり。
林歩美の高校生活は、まだまだ続いていく。




