明高荘のクリスマス
12月24日。
冬休みに入った明高荘は朝からどこか落ち着かなかった。
廊下を歩くと、どの部屋からも物音が聞こえる。
「絶対何かあるよね」
林歩美が言う。
「まあ、クリスマスだし」
遠野華子はそう答えながらも、少し気になっていた。
夕方。
大家の弓木家へ行くと、リビングはすっかりクリスマス仕様になっていた。
小さなツリー。
手作りの飾り。
テーブルいっぱいの料理。
「おおー!」
歩美が思わず声を上げる。
テーブルにはチキンやサラダ、ポテトが並んでいた。
中央には大きなクリスマスケーキ。
「今年も豪華だなあ」
島居優子が感心する。
「張り切ったからね!」
弓木さやかが胸を張った。
やがて住人たちが全員集まる。
林歩美。
遠野華子。
山下純子。
島居優子。
東ゆり。
林山寛子。
星野あけみ。
斉藤涼子。
菅原初美。
東田恵子。
岡つむぎ。
そして弓木家のみんな。
「乾杯!」
純子の音頭でクリスマス会が始まった。
「修学旅行の写真まだあるよ」
純子がスマホを取り出す。
「また始まった」
優子が笑う。
フランスの写真を見ながらみんなで盛り上がる。
エッフェル塔。
ルーブル美術館。
ヴェルサイユ宮殿。
「この時、純子迷子になりかけたんだよね」
優子が言う。
「なってない!」
「なりかけた」
みんなが笑う。
その頃。
東ゆりと林山寛子は受験の話をしていた。
「年明けたら本番だね」
あけみが言う。
「考えないようにしてる」
ゆりが答える。
「今日は受験の話禁止」
華子が宣言した。
「賛成」
寛子もすぐに手を挙げる。
しばらくしてプレゼント交換が始まる。
予算千円。
何が当たるかは分からない。
歩美が引いたのはマグカップ。
華子が引いたのはクッション。
ゆりはブランケット。
寛子は文房具セット。
「これ受験勉強に使えるね」
「ありがたい」
寛子は嬉しそうだった。
ケーキの時間になる。
イチゴと生クリームのクリスマスケーキだ。
「いただきます!」
全員の声が重なる。
甘いケーキを食べながら、今年の出来事を振り返る。
文化祭。
夏野菜の収穫。
海水浴。
修学旅行。
誕生日会。
「いろいろあったね」
歩美が言う。
「でも結局、明高荘はいつも通りだった気がする」
華子が笑う。
「それが一番いいんじゃない?」
初美が言った。
窓の外では冷たい風が吹いている。
でも部屋の中は暖かい。
純子が最後に立ち上がる。
「来年はもっと盛大にやろう!」
「まだ今年終わってない!」
総ツッコミが飛ぶ。
笑い声が響く中、クリスマスの夜はゆっくりと更けていく。
今年もまた、明高荘らしいクリスマスだった。




