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ほのぼの日常系、明高スケッチ  作者: 九頭龍りく


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204/210

オマケ・明高荘イス取りゲーム



休日の午後。


談話室に住人全員が集まっていた。


歩美がパンパンと手を叩く。


「みんなー! 今日は運動不足解消!」


華子が嫌な予感しかしない顔をする。


「嫌な予感しかしない。」


歩美は満面の笑みで宣言した。


「第一回・明高荘イス取りゲーム大会を開催します!」


「また始まった。」


華子はため息をつく。


「優勝賞品は!」


歩美が袋を掲げる。


「商店街の商品券五千円分!」


「おおー!」


真理子とちかが飛び跳ねた。


つむぎも珍しく反応した。


「……五千円。」


歩美がニヤリと笑う。


「やる気出た?」


「少し。」


「珍しい!」


りんが談話室のイスを並べ始める。


「全部で十四脚ですね。」


「一脚減らしてスタート!」


みなみがきれいに円を作る。


しずくはスマホで音楽を流す係になった。


「準備できたよ。」


「それでは第一回戦!」


音楽が流れ始める。


みんながイスの周りを歩き始めた。


歩美はノリノリでスキップ。


真理子も元気いっぱい。


ちかは小走り。


有紀は慎重に歩く。


つむぎだけは……。


のんびり。


「遅い!」


歩美が笑う。


「急がない。」


「ゲームだから!」


音楽が止まった。


全員が一斉に座る。


「あっ!」


立っていたのは恵子だった。


「負けたー!」


みんなが拍手する。


「応援します!」


二回戦。


イスが一脚減る。


音楽スタート。


歩美は突然ダンスを始めた。


華子が叫ぶ。


「踊らなくていい!」


「ノリが大事!」


音楽ストップ。


「あー!」


今度は初美が立っていた。


「会社では座れるのに。」


華子が笑う。


「会社と違います。」


その後も次々に脱落。


有紀。


「惜しかったです……。」


真理子。


「あと少しだった!」


さやか。


「ネギなら勝てたのに。」


華子がツッコむ。


「ネギは参加しない!」


準決勝。


残ったのは歩美、華子、奈緒、つむぎ。


「みんな強い!」


歩美が気合を入れる。


音楽が流れる。


四人はイスを回る。


つむぎだけ歩く速度が変わらない。


華子が不思議そうに見る。


「焦らないの?」


「疲れる。」


「理由がつむぎさんらしい!」


音楽ストップ!


歩美と華子が同じイスへ!


「わっ!」


二人とも譲らない。


「私!」


「私!」


そのすきに奈緒が別のイスへ。


そして。


つむぎが最後の一脚に座った。


歩美と華子は固まる。


「しまった!」


真理子が大笑いする。


「つむぎさんが一位!」


「まだ決勝よ!」


決勝。


奈緒対つむぎ。


談話室は静まり返る。


しずくが音楽を流す。


二人はイスの周りを歩く。


奈緒は慎重。


つむぎは相変わらずゆっくり。


歩美が小声で言う。


「もっと急いで!」


「疲れる。」


「だから!」


音楽が止まる。


奈緒が素早く座る。


その横で。


つむぎは……。


ソファに座っていた。


全員。


「そこじゃないーーー!」


つむぎは首をかしげる。


「座るゲーム。」


華子が笑いながらツッコむ。


「イス取りゲームなの!」


つむぎは納得したようにうなずいた。


「間違えた。」


奈緒が優勝し、みんなが拍手を送る。


歩美は賞品を渡した。


「おめでとう!」


奈緒は少し照れながら笑う。


「ありがとうございます。」


すると奈緒は商品券を見て言った。


「みんなでお菓子を買いませんか?」


「賛成!」


「やったー!」


談話室は大盛り上がり。


つむぎも小さく手を挙げた。


「……ポテトチップス。」


ちかが笑顔で言う。


「コンソメ味ね!」


「うん。」


華子は苦笑しながらみんなを見回した。


「結局、誰か一人が得するより、みんなで分ける方が明高荘らしいわね。」


歩美が元気よく締めくくる。


「じゃあ次のイベントは――」


華子が即座に遮った。


「今日はもう終わり!」


その一言で談話室は笑いに包まれ、明高荘のにぎやかな休日は今日も楽しく過ぎていくのだった。


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