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ほのぼの日常系、明高スケッチ  作者: 九頭龍りく


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203/210

オマケ・犯人は誰だ!?消えたたい焼き事件


ある日の午後。


談話室のテーブルの上に、大きな箱が置かれていた。


歩美が満面の笑みで言う。


「商店街の福引で、たい焼き20個当たったよ!」


「やったー!」


真理子とちかが飛び跳ねる。


りんがお皿を並べる。


「じゃあ、お茶を入れてきますね。」


しずくも立ち上がる。


「私も手伝う。」


さやかは庭へ。


「採れたミントを添えます!」


華子がすかさず言う。


「たい焼きにミントはいらない。」


みんなが準備をしている間、歩美は箱をテーブルに置いたまま談話室を出た。


五分後。


全員が戻ってきた。


歩美が箱を開ける。


「いただきま……」


動きが止まる。


「……あれ?」


箱の中には十九個しか入っていない。


「一個ない!」


談話室が静まり返った。


華子が腕を組む。


「つまり犯人は、この中にいるってことね。」


歩美は探偵のように歩き始めた。


「明高荘・たい焼き事件!」


真理子が目を輝かせる。


「推理ですね!」


有紀は少し緊張している。


「ど、どうしましょう……。」


歩美はまず真理子を見る。


「真理子ちゃん!」


「はい!」


「食べた?」


「食べてません!」


「本当に?」


「食べてません!」


「口の横にあんこ付いてるけど。」


真理子は慌てて口を拭く。


「これは昔のです!」


華子が吹き出す。


「昔のあんこって何よ!」


次はちか。


「ちかちゃん!」


「食べてないよ!」


「本当?」


「本当!」


その瞬間、ポケットからしっぽが落ちた。


全員が見る。


たい焼きのしっぽだった。


ちかは固まる。


「あっ。」


「証拠!」


「これは昨日の!」


華子が笑う。


「昨日もたい焼き食べてたの?」


「うん!」


「正直!」


次はつむぎ。


ソファで寝ている。


歩美が肩をたたく。


「つむぎさん。」


「……。」


「たい焼き知りません?」


つむぎは目を開ける。


「夢で見た。」


「現実の話!」


「美味しかった。」


「夢の感想はいらない!」


談話室は笑いに包まれた。


そのとき。


さやかが床を見た。


「足跡があります。」


「えっ!?」


床には小さなあんこの跡。


歩美たちはたどっていく。


玄関。


廊下。


談話室。


そして……


ソファの下。


歩美がのぞき込む。


「あ!」


そこには一匹の近所の猫がいた。


口にはたい焼きをくわえている。


「犯人は猫ー!」


みんな大笑い。


猫は「にゃあ」と鳴くと、たい焼きを置いて逃げていった。


ちかが拍手する。


「かわいかった!」


真理子も笑う。


「まさか猫とは!」


歩美がたい焼きを持ち上げる。


「でも、これどうする?」


華子が即答する。


「それは猫にあげよう。」


「だよね。」


そのとき、りんが台所から新しい皿を持ってきた。


「実は予備を買っておきました。」


「さすがりんさん!」


みんなは温かいたい焼きを食べながら笑い合う。


つむぎは最後の一個を見つめて言った。


「……猫の分も食べる?」


華子は間髪入れずにツッコんだ。


「だから猫の分は残しておきなさい!」


談話室にはまた大きな笑い声が響き、今日も明高荘は平和な一日を過ごすのだった。


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