オマケ・歩美のなんでもランキング
ある雨の日の午後。
談話室では住人たちが思い思いにくつろいでいた。
歩美が突然、ノートを片手に立ち上がる。
「みんな! 今日は明高荘なんでもランキングを決めます!」
華子が本を閉じる。
「また急ね。」
「思いついたから!」
「その一言で全部片付けるのやめなさい。」
歩美はホワイトボードに大きく書いた。
**『第一回・明高荘ランキング大会』**
「最初のお題!」
歩美は勢いよく書く。
**『朝が強そうな人ランキング!』**
「一位は……しずく!」
しずくは苦笑いする。
「家事があるから早起きしてるだけだよ。」
「二位、さやか!」
「家庭菜園がありますから!」
「三位、りんさん!」
りんは笑顔でうなずいた。
「ありがとうございます。」
歩美はさらに続ける。
「最下位!」
全員がつむぎを見る。
つむぎは静かにお茶を飲んでいた。
「……。」
歩美が聞く。
「つむぎさん、朝何時に起きます?」
「昼。」
「朝じゃない!」
談話室に笑いが起こる。
つむぎは首をかしげた。
「昼も朝。」
華子が即座に言う。
「それは昼!」
次のお題。
**『迷子になりそうな人ランキング』**
真理子が元気よく手を挙げる。
「歩美先輩です!」
「あっ、それ私も思いました。」
あかりも笑う。
奈緒もうなずく。
「なんとなく。」
有紀も小さな声で言う。
「……私も。」
歩美は驚いた。
「ええっ!?」
華子がため息をつく。
「去年もスーパーで出口を間違えて十五分さまよってたじゃない。」
「広かったんだもん!」
「コンビニより狭いスーパーだったわよ。」
全員が笑う。
歩美は負けじと次のお題。
**『冷蔵庫を開けたら何を探してたか忘れそうな人ランキング』**
ちかが元気よく答えた。
「歩美ちゃん!」
「また私!?」
真理子も笑う。
「歩美先輩ですね!」
有紀も手を挙げる。
「歩美先輩……。」
全員一致だった。
歩美はしょんぼりする。
「私ってそんな人?」
華子は真顔だった。
「昨日も冷蔵庫を開けて、『何しに来たんだっけ?』って言ってた。」
「あった!」
「アイス食べたかった!」
「違うでしょう!」
談話室は爆笑。
今度はりんが言う。
「私からもお題を出していいですか?」
「もちろん!」
りんは少し考えて言った。
「**一番相談しやすい人ランキング。**」
みんなが顔を見合わせる。
真理子が言う。
「涼子さん!」
「あ、私も!」
有紀もうなずく。
「優しいです。」
初美も笑う。
「涼子ちゃんなら何でも聞いてくれるものね。」
涼子は照れ笑い。
「そんなことないですよ。」
歩美が拍手した。
「一位決定!」
すると華子がニヤリと笑った。
「じゃあ最後のお題。」
「なになに?」
華子は歩美を見ながらホワイトボードに書いた。
**『一番イベントを勝手に始めそうな人ランキング』**
全員が一斉に歩美を指差した。
「歩美!」
「歩美先輩!」
「歩美ちゃん!」
「歩美さん。」
「歩美。」
「歩美だね。」
「歩美です。」
「歩美ちゃん!」
「……歩美。」
最後につむぎもゆっくり指を向けた。
「歩美。」
歩美は辺りを見回した。
「全員!?」
華子が笑う。
「反対意見ある人?」
誰も手を挙げない。
歩美は胸を張った。
「じゃあ一位だ!」
華子が呆れたように笑う。
「そこは喜ぶところなの?」
「もちろん!」
歩美は勢いよく立ち上がる。
「一位記念に!」
嫌な予感が走る。
「今から『第一回・明高荘おやつパーティー』を開催しまーす!」
華子は額に手を当てた。
「ほら始まった。」
真理子は拍手。
「やったー!」
ちかは飛び跳ねる。
「お菓子!」
さやかは庭へ走る。
「ミニトマトも持ってきます!」
りんは笑いながらお皿を並べ始める。
涼子と初美は飲み物を準備し、みなみは人数分のお菓子をきれいに並べた。
つむぎはソファから立ち上がり、一言だけつぶやく。
「……やっぱり一位。」
その言葉に談話室中が笑いに包まれた。
こうして今日も、歩美の思いつき一つで明高荘はにぎやかな一日を過ごすのだった。




