大蔵海岸で海水浴!
8月のある晴れた日。
明高荘の談話室では、夏休み恒例の「どこかへ行こう会議」が開かれていた。
「プールも行ったしなあ」
林歩美が言う。
「花火大会も終わったし」
山下純子が続ける。
すると東ゆりがスマホを見ながら言った。
「海は?」
その一言で空気が変わった。
「海!」
歩美が勢いよく立ち上がる。
行き先は、大蔵海岸。
明石海峡大橋が見える海辺として有名な場所だ。
当日の朝。
住人たちは駅で待ち合わせをした。
弓木ちかも参加である。
「海だー!」
集合した時点ですでに元気いっぱいだった。
電車を乗り継ぎ、海岸へ到着。
目の前には広い海。
そして大きな橋。
「すごーい!」
ちかが駆け出す。
「転ばないでよ!」
歩美が追いかけた。
砂浜には家族連れや観光客の姿が見える。
潮風が心地よい。
「思ったより景色いいね」
華子が橋を見上げる。
「絵に描きたくなる」
美術科らしい感想だった。
しばらく海辺を散歩する。
貝殻を拾う人。
橋の写真を撮る人。
砂浜に絵を描く人。
それぞれ自由に過ごした。
ちかは砂で小さな城を作っている。
「見て!」
「おおー」
完成度は意外と高かった。
昼になると、日陰で休憩する。
おにぎりや飲み物を広げる。
海を眺めながら食べる昼食は格別だった。
「夏休みって感じするね」
あけみが言う。
みんな頷いた。
午後。
歩美たちは海岸沿いの遊歩道を歩く。
遠くには明石海峡大橋。
空は真っ青。
入道雲がゆっくり流れている。
「スケッチブック持ってくればよかったな」
純子が言う。
「今度はスケッチ目的で来てもいいかも」
華子も賛成した。
帰る頃には少し日が傾いていた。
オレンジ色の光が海面に反射する。
「楽しかった!」
ちかが満足そうに言う。
「また来たいね」
歩美も笑顔だった。
明高荘へ戻った夜。
談話室では今日撮った写真を見せ合っていた。
海。
橋。
砂浜。
みんなの笑顔。
特別なことをしたわけではない。
それでも、大蔵海岸で過ごした一日は、夏休みの大切な思い出になったのだった。




