真夏のバーベキュー
8月上旬。
朝から強い日差しが照りつけていた。
談話室のエアコンは全力運転中。
それでも外を見るだけで暑そうだった。
「今日は外に出たくない……」
林歩美がソファに沈み込む。
「夏だからね」
遠野華子は冷たい麦茶を飲んでいる。
その時、弓木さやかが談話室に入ってきた。
「皆さん!」
嫌な予感がした。
「今日はバーベキューです!」
「この暑さで!?」
歩美が飛び起きる。
「この暑さだからです!」
さやかはなぜか自信満々だった。
結局、全員参加になった。
昼前。
会場は弓木家の庭。
炭に火が入ると、ただでさえ暑い空気がさらに熱くなる。
「熱い!」
「暑い!」
歩美は開始五分で弱音を吐いた。
「まだ肉焼いてないよ」
純子が笑う。
そこへ元気よく現れたのは弓木ちかだった。
「バーベキューだー!」
一人だけ暑さを気にしていない。
「ちかちゃん元気だね」
「夏休みだから!」
意味はよく分からないが元気だった。
肉が焼き始められる。
ジュウウウッ――。
香ばしい匂いが庭いっぱいに広がった。
「おお……」
歩美の目の色が変わる。
暑さを忘れたらしい。
「まだ焼けてません」
華子が冷静に止める。
「あと何秒?」
「数分」
「長い」
ちかは焼き上がるのを待ちながら、庭を走り回っていた。
「転ばないでね」
ゆりが声をかける。
「だいじょーぶ!」
元気な返事が返ってきた。
ようやく食事開始。
肉。
ソーセージ。
焼きとうもろこし。
野菜。
みんな夢中で食べる。
「おいしい!」
ちかが満面の笑みを浮かべる。
「やっぱり外で食べると違うね」
あけみも頷いた。
食後。
日陰に避難する一同。
全員ぐったりしていた。
ただ一人を除いて。
「次はスイカ割り!」
ちかだった。
「元気すぎる」
歩美が驚く。
結局、みんなでスイカ割りをすることになった。
最初に挑戦した歩美は全然違う方向へ進む。
「そっちじゃない!」
「右右!」
「もっと右!」
大騒ぎだった。
最後はちかが見事にスイカを割った。
「やったー!」
拍手が起こる。
割ったスイカはみんなでおいしく食べた。
夕方。
片付けを終えた一同は談話室へ戻る。
エアコンの風が天国のようだった。
「生き返った……」
歩美がソファに倒れ込む。
「でも楽しかったね」
華子が笑う。
窓の外ではヒグラシが鳴いていた。
暑くて大変だったけれど、みんなで笑って過ごした真夏の一日は、明高荘の忘れられない夏の思い出になったのだった。




