夏休みの予定
終業式から二日後。
夏休みが始まった明高荘は、どこかのんびりした空気に包まれていた。
昼過ぎの談話室。
エアコンの音だけが静かに響いている。
ソファには林歩美。
テーブルには遠野華子。
山下純子と島居優子はジュースを飲みながら雑誌を見ていた。
東ゆりは窓際で読書中。
そして林山寛子はアイスコーヒーを飲みながら新聞を眺めていた。
「暇だなあ」
歩美が言った。
夏休みが始まってから二日目である。
「まだ二日目だよ」
華子が呆れる。
「夏休みってもっと忙しいものだと思ってた」
「何を想像してたの」
「毎日イベント」
「そんなわけないでしょ」
そこへ星野あけみがやって来た。
「みんな何してるの?」
「暇してる」
歩美が答える。
「堂々と言うことじゃないよ」
あけみは笑った。
すると純子が言う。
「せっかくだし、この夏やりたいことを出し合わない?」
「いいね!」
歩美がすぐに反応した。
紙とペンが用意される。
まず歩美。
「花火大会!」
「うん」
「市民プール!」
「うん」
「かき氷食べ放題!」
「それイベントじゃない」
華子が即座にツッコんだ。
華子は、
「美術館」
「読書」
「作品制作」
と書く。
「真面目すぎる」
歩美は感心した。
純子は映画鑑賞。
優子はショッピング。
ゆりはカフェ巡り。
あけみは写真撮影。
みんな少しずつ違う。
最後に寛子。
ペンを持って考える。
そして書いた。
「オープンキャンパス」
「美術館」
「昼寝」
談話室が少し静かになった。
「最後だけ本音だよね?」
歩美が聞く。
「もちろん」
寛子は即答した。
みんなが笑う。
その後も予定の話は続いた。
海に行きたい人。
家でのんびりしたい人。
アルバイトを頑張る人。
同じ明高荘に住んでいても、夏休みの過ごし方はさまざまだった。
夕方。
窓の外からヒグラシの声が聞こえてくる。
「夏って感じだね」
ゆりが言った。
みんな頷く。
まだ始まったばかりの夏休み。
どんな出来事が待っているのかは分からない。
でも、それを考える時間も楽しかった。
「とりあえず今日はどうする?」
歩美が聞く。
「課題」
華子が答える。
「却下」
「却下できません」
談話室に笑い声が響く。
そんな他愛ないやり取りとともに、明高荘の夏休みはゆっくりと始まっていくのだった。




