バレンタイン当日、ありがとうを伝える
2月14日。
明高荘の朝。
いつもより少し早く、
談話室に明かりがついていた。
今日は、
バレンタインデー。
台所。
さやかが最後の仕上げをしている。
「昨日作ったチョコ、ちゃんと包めた?」
「大丈夫!」
ちかが自信満々に答える。
でも、
少しだけラッピングが曲がっている。
「ちからしいね」
しずくが笑う。
明高荘では、
恋愛だけではなく、
普段お世話になっている人へ感謝を伝える日になっていた。
朝。
登校前の談話室。
「はい」
歩美が小さな袋を渡す。
「華子、いつも一緒にいてくれてありがとう」
「こちらこそ」
華子も笑顔で渡す。
「今年も作品作り頑張ろうね」
美術科の二人らしい、
手作りの交換だった。
学校。
明石高校。
美術科の教室。
あかりと奈緒が先輩たちに渡す。
「いつもありがとうございます」
「去年、いろいろ教えてもらったので」
歩美は嬉しそうに受け取る。
「もうすっかり明高荘の仲間だね」
放課後。
明高荘。
談話室。
今日はみんなが集まる日。
あけみ。
涼子。
初美。
恵子。
つむぎ。
純子。
優子。
歩美。
華子。
あかり。
奈緒。
弓木家のみんな。
テーブルには、
手作りのお菓子が並んでいた。
「今年もいっぱい作ったね」
涼子が驚く。
「人数が多いからね」
さやかが笑う。
純子と優子は、
受験勉強の合間の時間。
「こういう時間、大事だね」
優子が言う。
「卒業前に、みんなと過ごせてよかった」
少し寂しい言葉。
でも、
笑顔だった。
歩美は思う。
去年は先輩に憧れていた。
今は後輩から見られる立場になっている。
時間は進んでいる。
夕方。
ちかが全員にカードを配る。
「ありがとうカード!」
中には、
少し曲がった文字。
でも、
一生懸命書いた気持ちが伝わる。
「明高荘のみんなへ」
「いつも楽しいです」
みんな笑顔になる。
夜。
庭を見る。
冬の家庭菜園。
まだ芽は出ていない。
でも、
春の準備は進んでいる。
「春になったら、また畑やろうね」
さやかが言う。
「今年も収穫祭したい!」
ちかが元気よく答える。
明高荘のバレンタインは、
甘いチョコレートだけではなく、
「ありがとう」がいっぱい詰まった一日になった。




