オリビアとクララック様の間にフラグがたちました(2)
「リリー、オリビア、アゼンタイン公爵家の皆様来てるわよ!」
「はあーい!」
大きな声で返事をして頭の飾りつけを待つ。
「いい?」
「はい。できました。いってらっしゃいませ。」
「オリビア行こう。」
「はい!」
靴を履き終わったオリビアの手を引いて部屋のそとにでて、階段を下りる。
女性は自分の家の馬車で行く人もいるけど、パートナーが違う家の人の場合は、パートナーの男性側が迎えに行くことになっている。
違う家の人というのは、つまり私とクリスのように、同じ家に住んでいるのではなく、別々の家門であったり別々の屋敷に住む人のこと。
階段の下には、クララック様と執事の皆さんが迎えに来てくれていた。オリビアはヒールの高い靴になれていないから、ゆっくり慎重におりていくと、こっちを見つめるクララック様が見えた。
その瞬間、ピキーンと私は長年の恋愛小説読破の経験によって、あるひとつの結論にたどり着いた。
あーーー。
あれは落ちてる。
何に落ちたかと言えば、神秘的な空気をまとうオリビアに、である。
階段の下から見上げているのだから、オリビアの靴は見えているだろう。あの、例の靴である。
それに加え似合いすぎるドレスと髪型、本人は階段で転ばないためだが、目を伏せながらゆっくり下りてくる姿というのも高得点。
落ちない方がおかしい。
ようやく階段を下り終わってオリビアがぱっと目をあげる。
「お待たせいたしました。本日はよろしくお願い致します。」
「………うん、こちらこそ………………………。」
うん。確実。
私もオリビアの後ろで礼をした。
「それではオリビアを、よろしくお願いします。」
「ああ。」
「お嬢様も、気をつけて下さいね。」
「うん。レベッカお姉様!」
オリビアはにっこり女神のような笑みを残して、クララック様と一緒に馬車に乗り込んでいった。公爵家の馬車は大体外から見えないようになっている。もうオリビアと目が合うことはなかった。
それを見ていたらなんだか寂しくなってきて、クリスのもとに走った。
「クリス、今日はよろしくね!」
「ええ。」
クリスは寂しくなった私の心情が分かったのか、頭を撫でてきた。
いきなりで驚いて、そして恥ずかしくなって、照れ隠しで顔を背けた。
「私もう12だよ?」
「いつまでたっても可愛いお嬢様です。」
クリスは幼い頃から秀才で、私がちっちゃいときから幼いながら家で働いていたらしい。だからいつまでたっても、何だろうけど、
成長していませんね、にもとらえられてしまうからやめた方が云いと思う………………。
「行きましょうか。」
「うん!それじゃあお父様、お母様。」
「ええ。気をつけてね。」
ベドフォード家の馬車は嫌でも注目されてしまうから、今回は一緒には乗っていけない。
お母様とハグを交わして、クリスと馬車に乗り込んだ。
クアルテーロ家の本当の人間ではないから、注目されないように馬車は少し控えめ。それだからなのか、椅子が少し固かった。
「お嬢様、最終確認を致しましょう。」
「ええ。」
馬車が走り出してから、クリスが切り出した。
「私の名前は?」
「クリス・ロークウェン。それは変わらないでしょ?」
「そうですね。お嬢様は?」
「レイラ・クアルテーロ。レベッカ・クアルテーロの妹。」
「お父様は何をしている方ですか?」
「何分小さな家ですので………。」
「私の呼び名は。」
「クリス。」
「あなたにとってどんな人ですか。」
「幼い頃お世話になった家の跡継ぎ様です。」
「よろしいですね。大丈夫そうです。」
ほっと息をついて足をぶらぶらさせる。クアルテーロ家の皆さんは、邸宅がものすごい遠いと言うのもあって、全くといっていいほど社交界には出てこず、出てくる予定もない方々だから、顔を知る人はまずいない。問題が起こるとは思えないけれど、やっぱり心配。
パーティー、無事に終わるといいんだけど。




