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オリビアとクララック様の間にフラグがたちました


 「あの、まずは先日の件、謝罪致します。」


 深々と頭を下げると、クララック様は首をふった。


 「僕のせいでもあるんだ。リリアンが謝ることじゃないよ。」


 どこまでも優しいクララック様に苦笑いするしかない。

 先日の件というのは、皇太子様から隠れたときに、クララック様の手を振り払ったことである。動転していたとはいえ、自分とオリビアを助けてくれている人にあの行いは酷い。次にクララック様に会う時は謝罪しようと思っていた。


 オリビアが私の横に座り、何の話ですか?という風に私を見つめてくるけれど、微笑んでおいた。オリビアが戻って来たことで先程のオリビアの大声を思い出したのか、オリビアをまさかという風に眺めているクララック様は、私が話を待っていることに気づいて、私に視線を無理やり戻した。


 「今日の話というのは、会場に入るときに使う偽名についてなんだ。小さい頃から縁のあるクアルテーロ家という田舎の方の小さな男爵家の名前を貸してもらうことにしたよ。クアルテーロ家の皆さんは社交の場に出てくることがないから、ばれる心配はないと思う。少し特殊な家なんだ。レベッカ・クアルテーロという名前を使ってくれ。」


 はい。と頷いたオリビアの方を向いてニコッと笑った。


 「じゃあオリビアはお姉様だね。」


 「え?」

 

 「おっ!?いけません!お嬢様がお姉様ならまだしも………。」


 「いやさすがに8つも離れててそれは変だから。」


 「え!?」


 クララック様があまりにも目を丸くして私たちを凝視しているから、言い忘れていたことを思い出した。


 「ああ!私も行くことにしたんです。エスコートはクリスという家の者に頼みます。オリビアが心配なので………。レベッカ様に妹がいたり………?」


 「そ、そう………。いるよ。たしか、レイラという。問題はないと思う。

 ………………あの、8つということは、リリアンが今12だから、オリビアは………………」


 「………? 20です。」

 

 オリビアがさも当たり前のように言うと、クララック様はショックを受けたようだった。

 明らかに動揺している。本当に分かりやすい。

 だけど社交している時は食えない人なんだろうなぁとか考えていたらオリビアが身を乗り出した。


 「………あの………………クララ様は今………?」


 オリビアが自然にクララ様と呼んだのに驚いて飲んでいた紅茶のカップを取り落とす。

 2人ともそれは気にしていないようだった。


 「20です。」


 あ、オリビアもショックを受けた。

 どちらも口を開かなくなってしまったので、紅茶が溢れていないかを確認したあと遠慮がちに言った。


 「あの、何か問題でも………?」


 「おおありです、お嬢様。」


 真剣な声で返されてびっくりする。そのオリビアをクララック様がびっくりして見つめている。


 あれ、私だけついていけない………。


 「そ、そうか。おおありだよね。ごめん。」


 「え?なぜクララ様が謝るのです?私が悪いのです。」


 「え?なぜオリビアが悪いの?」


 んん?2人もかみあってない………。


 と考えつつ面白いなぁと思ってしまう。

 前世で恋愛小説ばかり読んでいたから、フラグというか、恋の予感というのは分かってしまうのだ。

 これは、たぶん、

    クララック様とオリビアがくっつくやつだ。

 ちょっとにやにやしながら見つめていると、クララック様がまゆじりを下げて言った。


 「だって、20だなんて、1番大事な時期の女性をこんなことに巻き込んでしまって………。」


 「はい?」


 「え?」


 あぁほら、面白くなってきた!


 完全に恋愛映画を観る視点で、紅茶をもって体をのけ反らせる。


 「私は、こんな行き遅れの、クララ様からしたらもうおばさんと言っても過言ではないような女を、エスコートさせるのが申し訳なくて………。」



 本当に申し訳なさそうにするオリビアを見て気づかれないようにうんうん!と頷く。

 そうそう!ヒロインはすっごくピュアなの!そして自己肯定感がひくいのよ!!


 20でおばさんだったら実年齢38歳の私はどうなるんだろう………。


 考えて恐ろしくなった。


 「20は行き遅れではないよ。僕だって結婚を言われ続けているけど縁がなくて、いや縁はあるけど………」



  運がなくて。


 紅茶を一口飲んだ。



 「だからきっと、僕だって25過ぎても結婚なんてしてないと思うんだ。」


 「そ、そうですか。でもいずれは結婚なさるでしょう?公爵家の公子様なのですから。私は一生結婚なんて………。」


 「オリビアのように美しくて聡明な女性なら引く手あまただよ。」


 「いいえ。誰も捨て子など欲しがりませんわ。」


 「僕ならほしいけど。」


 「えっ!」


 「え?」


 2人とも真っ赤になったところで上映は終了。

 2人ともピュアだから、びっくりするぐらい恋愛小説っぽくすすんだ。

 あ、恋愛小説なのか。


 「2人とも、年なんて気にすることではありませんわ。」


 「そ、そうですよね。すいません。熱くなってしまって………。」


 うん。熱くなってる。ダンスの時より2倍ほど顔の赤さに差があると思う。


 「こ、こちらこそ………。」

 

 自分の発言の重大さを今理解したのか、こちらもオリビアと同じくらい顔赤くしている。


 「お嬢様、何をのけ反っていらっしゃるのですか?」


 「え?いやべつに………………。」


  2人が主演の恋愛映画を見てました。


 

 

 


 

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