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オリビアとパーティーに行きます!


 「あの………別の令嬢として侵入する、というのはどうでしょう。」


 うちひしがれている私を見かねたのか、カロンが大声で言った。


 別の令嬢………?


 「オリビアもそうなるのでしょう?皇室のパーティーでしたら、それなりに人数がいるはずです。そこに顔を知らない令嬢が一人いたところで誰も気にしませんよ。お嬢様も、リリアンお嬢様としてではなく、別の令嬢として入ってしまえばいいんです。」


 私が急に立ち上がってつかつか近寄るもんだから、カロンは言葉を切った。

 それを気にせずカロンの手をとって胸の前で握りしめる。


 「それよ!オリビアとおんなじ風に入ればいいんだわ!」


 カロンは目をぱちくりさせて、きょとんとしている。

 クリスが私に続いた。


 「たしかに、オリビアは公子様と一緒にいればまず疑われることはないでしょうから別として、初めのチェックさえ通ってしまえば、あとは誰も確認しませんしね。怪しい動きさえしなければ警備員に声をかけられることもありません。皇室のパーティーなら近衛騎士団が警備しているはずですから、少しでも危険だと判断されればアウトですが。」


 「怪しい動きなんてしないわ。ただオリビアを見守るだけだもの。」


 カロンの手を離して部屋のドアに近づく。力を込めて大きく開けると、お兄様たちが今まさに開けようとしていたところだった。


 「リリーだいじょ」


 「お父様たちは?」


 「え、今執務室に………」


 ライお兄様が言い終わる前にさっさと歩き出す。

 お父様たちにオリビアの事情を話して、一緒に連れてってもらえるようにお願いして、オリビアと自分のドレス一式選んで、ダンスと作法のおさらいして、ああ、やることがいっぱいだわ!


 でもなぜかうきうきしている自分がいた。オリビアと一緒にパーティーに行けるなんて、一生ないと思っていたからだ。

 皇太子様の近くに行かなければならないのは気が重くなることだけれど、オリビアの夜会ドレス姿とダンスが見られるなら、それぐらいの代償はいいかもしれない。そう思ってしまうのだった。



 









 お父様たちに交渉した結果、


 「え!?リリーも行くだって!?だめだ!誰かに連れ去られたらどうするんだ!髪と目の色を変えたとしてもその可愛さは」


 「いいわよー。楽しみましょうね。オリビアと一緒に行けるだなんて夢のようだわ。それで、あなたのパートナーはどうするの?お兄ちゃんたちは駄目でしょう。」


 「あ………。」


 「リリーお嬢様、宜しければ私が。」


 「ええ!クリスと行くわ。」


 「そうね!クリスは一応貴族だものね。」


 「没落済みですが。」


 「何!?だめだよ!だったらお父様と」


 「あなた………………。私のことは放っておくつもりなのですね。………いいですわ。私は寂しく一人入場を。」


 「アッアンナ!そんなことするわけないじゃないか!」


 「じゃあいいですわね?」


 「えっ」



 ということである。




 その経緯をオリビアにドレスを選びながら話した。


 「わたし、皆様に大変ご迷惑っ………う。」


 「そんなことないって言ってるでしょ?どう?」


 「細いです!細すぎます!何ですかこの腰!!オリビアあなた、ちゃんと食べてる?」


 「たったべてま………ああっ」


 オリビアは今サラによってコルセットを締められている。メイド長のコルセット締めはちょっときつい。いやかなりきつい。

 そっとのぞいて私も顔をしかめた。確かに細い。私よりも8歳も年上なのに、ほぼ私と同じくらいだ。そのくせ出るとこは出てる。

 思わず自分の胸部を見下ろした。


 ………いやべつに、まだ12歳だし、まだ大きくなくて問題はないし、別にないわけでもない。むしろこの年にしてはあるほうだ。


 「B、いやCか?」


 「オリビアですか?オリビアはE、F………Gまで行くかしら。」


 「いきません!そんなにないです!!うっ」


 どうやら今叫んだので少し緩んでしまったらしい。締め直しだ。

 胸ばかり見つめられるのも可愛そうなので、ドレス選びに専念しようと思い、山のようなドレスたちに向き直った。


 「さて、オリビアはやっぱり淡い色よね。」


 「そうですねー。濃いとオリビア様の儚さが揉み消されてしまうでしょう。」


 私のとなりでこう言うのは、新しい仕立て屋の人だ。前のあの男は首になったらしい。クビではなく首だ。可哀想に、体のほうは燃やされたらしい。(後でカイお兄様の作り話だと判明する)


 「限りなく薄いイエローの柔らかい生地に瞳のお色で飾りを重ねていくのが宜しいかと。あまり胸元は強調しない方が良さそうですわね。そこまですると男たちが群がることになるでしょうし。裾も軽めに広がるものにしましょう。こんな感じで。」


 仕立て屋さんから完成イメージ図をみせられ、目を輝かせた。


 「まあ!まるで森の精霊ですわね!」


 「あら!森の精霊!いいですわね、それ!素晴らしい響きですわ。あ、じゃあ靴は足に蔦が巻き付くようなデザインはどうでしょう。ダンスで回った時、蔦が巻き付く白く滑らかなあの足が見えたら、男も女も歓喜ですわ!」


 「まぁ~~~~。」


 




      ちなみに男性、立ち入り禁止である。


 



 

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