お嬢様が魔法にお目覚めになられました(2)
光がおさまったとたん、お母様とお父様がわっと抱きついてきた。
「リリー!もう!!あなたって子は………!」
「………っ」
心配、させちゃったのかな。
お兄様に軽く出力の方法を教えてもらっただけで、こんなに出来るようになるとは私も思っていなかった。恐らくこんなにもの魔法が使えることがばれれば大騒ぎだ。しかも闇の魔法と癒しの力はいけない。絶対に外で使っちゃだめだ。
闇の魔法は破壊力がすごくて、悪人の手に入れば間違いなく国が滅ぶ魔法。だから五大魔法といっても、闇の魔法を使うことが出来るのは、歴代の皇太子と国王か、一部の力のある魔法使いだけ。私はそれに加えて誰もが喉から手が出るほどほしいであろう癒しの力を使うことが出来てしまう。
ベドフォード家の皆は信用できる人たちばかりだから今回見せたけど、今後この力を使うつもりはない。
「リリー。分かってるな。」
「はい。もちろんです。魔法を使うときは一段階属性をさげてつかいます。」
魔法にもレベルがあるのは前説明した通りだけど、ある一定の属性を使うことができるなら、それより下の属性はコントロール出来るんだ。つまり、水属性が使える人はそれをコントロールして、氷属性を使うことも出来るってこと。
「そうだ。誰にもみせるな。それはお前の身を危険にさらしかねない。」
はい。と頷く。
ほんとうに、気を付けなくちゃいけない力だ、これは。
使用人の皆が屋敷に入ってから私も中にはいる。
と、途中で訓練場の鍵を閉めていたクリスに会った。
「あ、クリス!今の見てた?すごいでしょ。」
「はい。見ておりました。頑張りましたね、お嬢様。」
クリスの甘いマスクが笑顔でさらに甘くなる。
うわぁ。クリスもなかなかの美人だわ。
別に気付いてなかったわけではないけど、この距離でのその笑顔は………。
「オリビアいくよ………」
「はいお嬢様………」
小さな声で話して、静か―に歩く。
今日はクララック様のお家へお邪魔する日なんだけど、お父様がだめだ!って言うもんだから、お母様がこっそり転移魔法でいきなさいって言ったの。クララック様にはもう連絡してあるから大丈夫なんだけど、ここでお父様に見つかったら面倒くさい。ちなみにお父様は今お母様とのティータイムにでれでれなはず。
だからオリビアと2人で抜き足差し足………。
自分の部屋に入って鍵を閉めてからオリビアと手をつないで意識を集中させる。
「アゼンタイン公爵家に。」
唱えたとたん強く体をひっぱられた。オリビアの手を離さないようにしっかり握る。
魔法の使い方を覚えた私は、転移魔法も使えるようになった。しかも正確に。はずしたことは一度もない。
しゅんっ
と音をたてて地面に足をつく。懐かしい景色が広がった。目の前には、かつて私がクララック様のお願いを引き受けたときの椅子がある。
奥の森の葉がガサガサと音をたてて動いた。
そこから出てきた男の人ににっこり笑いかける。
「お久しぶりです。クララック様。」
クララック様は驚いた顔をしたあと、同じように笑い返した。
「やあ。久しぶり。リリアン。」




