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男なら一国一城の主を目指さなきゃね  作者: 三度笠
第二部 冒険者時代 -少年期~青年期-

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第百六十四話 聖女の噂

朝までに何とか間に合ったけど、内容についてはちょっと後で弄るかも知れません。と言っても大筋は変えませんけど。

7446年5月11日


 日が暮れる前にラムドックの街に到着した。

 ラムドックの街の北東には標高一三〇〇m程のボード山が聳え立っており、西のピートス山脈と共にジンダル半島への門のような役割を果たしている。このボード山を更に東に迂回してから北上して王都へ向かおうという目論見だ。


 適当な宿に入り、飯屋で飯を食っていた。


 本当はもう目と鼻の先、一〇㎞程東にあるヨーライズ子爵領についてどんな場所なのか情報収集しようとしたのだが、聞けたのはありきたりなものばかりで大した情報は集められなかったのだ。これは二号の商会に所属する隊商が居なかったことが大きい。居るときには居るんだろうが、運が悪かったということだろう。


 何にしてもヨーライズ子爵領に入って最初の村である、ウィンロー村までは途中から山道になる街道を歩いて二〇㎞もあるらしい。領地の境界を挟むためにかなりの距離が開いているのだ。明日は平地の二〇㎞とは訳が違うので今日はとっとと寝ておいた方が良い。




・・・・・・・・・




7446年5月12日


 早朝にラムドックの街を出発した。

 もう少しボード山に近い北の街道はヨーライズ子爵領との境界ギリギリの街道で、ボード山中に点在する集落を巡るものだ。バークッドへの往路でこの街道にはオークが出没すると聞いていたし、襲撃されても面倒くさいので完全にボード山を迂回する、ヨーライズ子爵領の西部を北に抜けるような街道を進んでいる。


 ある程度高低差のある山道ではあるが、標高は然程でもない。二頭の軍馬に装着しているサドルバッグは皆のブーツとグィネとエンゲラが往路で着ていた革鎧、毛布などでパンパンだ。馬の背に揺られる俺たちも後席に座る俺とミヅチは着替えなどが入っているリュックサックを背負っている。ぱっと見は小規模な行商人に見えなくもないが、一見すると金属鎧(プレートメール)を着た重武装と言っていい奴らが四人もいるのでそうそう見間違われて野盗の襲撃を受けるようなこともあるまい。


 夕刻にウィンロー村へ到着したが、いつもと同様に途中でゴブリンを遠目に見掛けたくらいで特に問題はなかった。


 村の人口は六〇〇人程と、バークッドに毛が生えたようなものだ。

 当然宿はない。

 領主に断って館の傍の空き地での野営の許可を貰う。


「この辺りには魔物も出ないことは無いですが、村の中ならまず安全です」


 領主の息子がそう言って俺たちを安心させてくれた。


 一応二時間交代で見張り、と言うより火の番だけは絶やさないようにしておく。このウィンロー村を出たあと、街道は幾つかに分岐があるが、基本的にボード山に近づき過ぎない程度に左側(北側)を目指せば一〇〇㎞程でヨーライズ子爵領を抜け、ダート平原の北、ロンベルト王国の南部である小領地や天領の集合するカンデイル地方の西部の中央辺りに行けるそうだ。




・・・・・・・・・




7446年5月13日


 深い森の中を畝る道の脇に立っている木の表皮が削られ、標識になっている。


 左側「ボード山方面、マッソーズ村、三時間」

 中央「ザーラックス方面、カブロック村、七時間」

 右側「サミッシュ方面、ヴィッシュ村、五時間」


 左側は却下。ペンライド子爵領との境界の方へ行ってどうする。右のサミッシュ方面と言うのは海岸沿いにある街、サミッシュへと続くのだろう。却下。中央のザーラックス方面しかねぇけど、七時間かよ……。


 今の時刻はだいたい十三時。馬も使っているから看板の表記より少しは早く到着出来そうではあるが、絶対に途中で日が暮れるだろう。だが、ライトの魔術もあるし、その頃にはカブロック村か? その村まで僅かな距離しか無いはずだ。


「真ん中行きたいんだけどさ、どうかね?」


 言うだけ言ってみた。正直言って反対意見を期待しているが、俺を納得させる意見があればこのまま真ん中もありっちゃありだ。


「ん……大丈夫じゃないですか? アルさんもミヅチさんも居るし、明かりは問題ないでしょうから」


 だめだこのお髭さん、何も考えてねぇ。


「ご主人様の仰せのままに」


 忠犬マル公に聞いたのが俺の阿呆さ加減を表している。こいつが反対する訳無かった。


「無理して夜に歩かなくても……ライトを使っても足元は見にくいわよ? マッソーズ村に行ってそこから合流出来る道はないの?」


 地図によると無い。いや、あるのかも知れないが、地図には載っていない。


「無ぇんだよな。これが。合流する道が有ることを期待して北の方に行くのもいいけど、無かったらまた戻って来なきゃならん。それでも三時間と七時間だから明日一日あればカブロック村には行けそうだ。そうしようか?」


「私はそっちの方がいいと思う。このままカブロック村に行ければ確かに一日早く着くけど、暗い中で間違って分かれ道に行っちゃったりしたら目も当てられないでしょ? 私とグィネは【赤外線視力(インフラビジョン)】を持っているとはいえ、馬もいるからライトは必須だし、流石にこんな標識じゃあ絶対に見落とさないなんて言えないわ」


「一理あるな。急ぐ訳でなし、そうしようか」


 俺たちは北のボード山へ近づく道を歩き始めた。


 特に大きな問題もなくマッソーズ村へと到着した。移動にはしっかりと三時間掛かってしまった。分かれ道を進んで一時間もしないうちにオークの襲撃を受けたのだ。その魔石を採っていて時間を食ってしまった。オークの魔石は【鑑定】で見える価値は四〇〇〇以上、つまり売れば三万Z程度にはなるからな。見逃す手はない。


 到着したマッソーズ村の規模は五〇戸程で三〇〇~三五〇人くらいの人口だろう。

 早速領主に村内での野営の許可を取りに行くと「行商人でないなら宿泊場所の提供費用として一人当たり大銅貨一枚(一千Z)だ」と言われた。

 たまにこういう事もある。

 貧乏な村のようだし、これは仕方の無いことだ。

 素直に金を支払うと、村の外れを流れる小川の側にある空き地のようになっている広場が野営場所との事だった。


 まだ時間の余裕もあるのでのんびりとそこまで行き、野営の準備を始めた。

 広場の端の草地には何本か無造作に杭が打ち付けられている。

 この村に来た隊商などが馬や牛留めとして使っているのだろう。


 また、領主には当然カブロック村への近道は無いものか聞いてみたが、残念ながら無かった。明日はまた早起きして来た道を三時間近くかけて戻らなくてはならない。


 夕方が近いため、今日の作業を終えた村人が広場を通りかかったりしている。

 外部の者はこの村には滅多に来ないからか、または大した荷物も持たないのにしっかりと武装だけ整えている俺たちが珍しいのか、話し掛けて来る者は殆どおらず、いても小さな子供だけだった。親らしき人も別にそれを咎めている様子はないので避けられている訳ではないのだろう。


 俺は薪と飼葉になる麦藁の調達をエンゲラに申し付けると調達資金として大銅貨を念の為に何枚か渡し、グィネには何か食べられるものの調達を頼んだ。


 その間に俺とミヅチは馬から馬具や荷物を外し、馬を杭に繋いだ。

 杭はちょろちょろと流れる小川のすぐ側に打ち付けられているため、二頭の馬は小川に顔を突っ込んでがふがふと水を飲んでいた。

 ミヅチはサドルバッグからラムドックの街で仕入れた岩塩の塊を出してやると一頭づつ順番に舐めさせている。

 俺は馬の背に水を掛け、一日鞍が乗っていて痒そうになっているところを重点的に掻いてやっていた。


 そうしているうちに薪を抱えたエンゲラが戻ってきた。


「申し訳ありません、少し割高になってしまいました」


 頭を下げながらそう言うとお釣りを手渡してきた。意外なことに大銅貨は二枚も減っている。

 薪はあと二往復分、飼葉はその倍くらい買えたようだ。

 それにしても二〇〇〇Zって、高くねぇ?

 相場ならこの六~七割でも少し高めだぞ。ま、あんまり裕福そうな村でもないし、バークッドより規模の小さい貧乏そうな村だしな。

 足元見られるのは仕方ねぇか……この村の人にとっては貴重な現金収入だろうし。


 ところで、この旅においてこういう交渉はエンゲラに任せている。

 彼女は農奴出身だし、農民との交渉において上手く丸め込まれるというのは考えにくいだろうし、いい練習になると思ったのだ。


「ん……そっちの方は頼むわ。俺たちは馬の世話と火を熾しておく」


「はい、ご主人様」


 エンゲラは先程交渉を行ったらしい家に向かって再び歩き始めた。


 エンゲラが運ぶ薪は焚き火の予定地に積み上げ、俺とミヅチはまだ馬の世話に掛り切りだ。そこに、見るからに固そうな黒パンを抱えたグィネが戻ってきた。


「見てください、この量で銅貨八枚ですよ!」


 グィネの声には不平そうな音が篭っている。

 サイズとして四人がたっぷり食えそうではある。しかし、明日の朝の分も考えるとちょっと少ない。


「結構いい値段ね……薪と飼葉でも二〇〇〇だって」


 ミヅチが苦笑いを浮かべながら支払いを立て替えたグィネに銅貨を渡していた。


「ところで、ちょっと良いですか? 少し気になることが……」


 グィネが声を落として話し始めた。


『この辺りにペギー様と言う聖女がいたらしいんですよ。なんでも大地の神(ニギワ)の奇跡で病気や怪我を治療するらしいです。どうせ治癒魔術だろうと思って聞いたのですが、どうも違うようなんですよね……治療の時に手は光るらしいんですが、青い魔術光ではなく、白い光らしいです』


『なにっ?』

『それって……』


 俺もミヅチも言葉に詰まる。この情報だけで判断するのは危険だが、そのペギーとやらには転生者の可能性がある。


『そうですよね。私もそう思いました。で、そのペギー様とやらですが、どうもこのヨーライズ子爵領を巡っているらしいと言う事は判りました。この村にも一年くらい前に来たそうです。従者……仲間も何人か居るみたいで。そちらの方は判りませんがペギー様は髪も目も黒いそうです』


『『……』』


『この村に来た時に風邪を引いた領主さんのお母さんと、出産直後で衰弱した農奴の娘さんに手を触れるだけで治したそうですよ。残念ながらそれ以上の事は判りませんし、今何処に居るのかも判りません』


『『……』』


『彼女は自分のことを大地母神《ニギワナ》の生まれ変わりだと説明したそうです。勿論領主さんとか従士さんはそこまでは流石に信じなかったそうですが、実際に目の前で治療して貰った事もあって半信半疑ではあるようです。農奴の人達はどうも完全に信じているようですね。十字架のようなものになんまいだーとか言ってました』


『『なんじゃそら?』』


 ミヅチとハモった。


『ま、それがあったので私も気が付けたんですけど。十字架はペギー様の従者から三万Zで購入したものらしいんですが、それに向かってなんまいだーとか言ってるので吹き出すのを我慢するので苦労しましたよ、全く』


 グィネはそう言って笑った。

 俺とミヅチは顔を見合わせる。


 これは確実に日本人だ。

 オースには偶像崇拝の文化は無い。

 唯一、それに近いものとして神社が有るが、それだって日本で言う鎮守の森の神様だったりが祀られていると聞くのみで習慣的にお祈りをするようなものでは無い。

 まして、各家庭に神棚のようなものを作ってそれに向かってお経のようなものを唱えたりお祈りするなんてことも無い。

 本当は有るのかも知れないが聞いたことは今までに一度も無い。


『そりゃあ確かに日本人だろうな……。しかし、十字架になんまいだーねぇ。南無阿弥陀仏が訛ったセリフなんだろうけどさ、もう少し工夫が欲しいよな。それはそうと俺も話を聞いて来るわ』


 そのペギー様だかマーガレット様だかは宗教をつくろうと言うのだろうか?

 魔法や固有技能によっては神の奇跡に見せ掛ける事は難しくはないだろう。特に光る手とやらが青い魔術光でないと言うのであれば騙される奴も多いかもしれない。

 そこに病気や怪我を治されたらコロリと信じる奴の方が圧倒的に多いと思う。


 そんな事を考えながら適当な、それでも平民らしいそれなりの造りの家を選んで、家人に何か食べ物を譲ってくれないかと尋ねた。土間に通されたのでそこで待っていろということらしい。

 家の奥からは「なんまいだーなんまいだー」と妙な発音で祈りを捧げる声がしている。飯時だからだろうか、食事の前の祈りとも取れる。

 パンを持って戻った奥さんに「あの声は一体何です?」と尋ねると、あっさりと「ペギー様への感謝の祈りですわ」との答えが返ってきた。


 要求された銅貨を渡しながらペギー様について聞いてみると、グィネが聞いてきたようなことを教えてくれた。

 「とても尊いお方です。この地を巡り、地上に神の奇跡を齎していただける有り難いお方ですよ」だってさ。

 上手く騙してるようだな。


 宗教の教祖だか開祖だかになるなんて考えもしていなかった。世の中には目端の利く奴も居るもんだ。なんとなくだが俺とは気が合いそうな感じも受けた。下々の民草を誘導するのに宗教というのは場合によっては絶大な力を発揮する。


 本当に優秀な奴なら交渉次第で将来的に囲ってやってもいいくらいだ。教義などというものがあればそれを調べてからでないと何とも言えないが、為政者側に有利だったり、有利なように改変可能なのであれば俺の国の国教として採用するのも有りだろう。


 とは言え、その聖女様が現れたのはここ数年のことであり、しかも当時は急に噂が流れ、その後沈静化したとの事だった。忘れた頃に村に来て自分は大地母神《ニギワナ》の生まれ変わり、聖女であると宣ったそうだ。そして有り難い、聖女様自らが清められた十字架を経費のみで配ったらしい。


 是非にと頼み込んで見せて貰ったら


【大地母神《ニギワナ》の御印(みしるし)】

【オーク材、魔晶石】

【状態:良好】

【加工日:4/12/7444】

【価値:30】

【耐久:7】

【オーク材の型に魔晶石を埋め込んだもの】

【効果:無し】


 と出た。

 どうせ「材料名が出るか、せいぜい十字架と表示されるだけだろう」と高をくくっていたのだが、腰を抜かさんばかりに驚いた。

 名前が付いてるじゃねぇか!?

 神社で命名の儀式をして貰ったということだ。だとすると三万Zという価格は安過ぎるんだけどな。


 と言うことは幾つか考えられる。


1.本当に神社で命名して貰ってそれを安く売っている


 だとすると一個当たりかなりの赤字を出していることになるので幾らなんでもこれはありえないだろう。とは言え、何らかの理由で神社が値引きして命名の儀式をしている可能性もある。考えにくいけど。


2.従者の中に別の日本人がいて、そいつの固有技能を使って命名したか作った


 可能性としては一番じゃないだろうか。命名ってのは違うような気もするが。


3.特殊な作り方でこういったステータスになる事を知った。それを有効活用するために宗教を立ち上げた


 まぁ否定は出来ない。魔石が使われているし。


 この内のどれかだろう。複合かもしれない。例えば1と3の複合という可能性もある。予め特殊な工作をしておくと命名の儀式の料金が安くなるとか、俺が知らないこともある可能性はあるだろう……多分無いけど。


 なんにしても宗教らしい宗教の存在しないオースに於いてはかなり頭の良いやり方だ。今は大して儲からないだろうが、だんだんと勢力を伸ばし村や街の領主も帰属させ、ヨーライズ子爵家に取り入ることで勢力の拡大が図れる。上手に操って傀儡にすれば表向きは普通の小国で、その実、宗教国家を立ち上げる事も可能「かも」知れない。


 子爵を傀儡に出来なくても時間さえ掛ければ甘い汁を吸うくらいなら元日本人の脳味噌を持ってすればそこそこ高い成功率でイけるのではないだろうか。


 ……しかし、どうやら今は種を蒔いているようだ。俺が探したりすることで悪目立ちして聖女様に迷惑が掛かるかも知れない。俺としても今回の旅はそれなりに時間的な余裕が有るとは言え、どこに居るとも知れない奴を探し回ってヨーライズ子爵領をうろちょろするほど暇ではない。居所に対する確実な情報でもあれば今の内に一度くらい顔を合わせておくのも悪い事ではないだろうが……。


 ミヅチに相談したが、予想していた通り、今会ってもあまりプラスにはならないだろうと言われた。こういう地道な布教活動を何年にも亘って続けているのであればそれを捨ててこちらに冒険者として合流する可能性は少ないだろうし、逆に相手に対して将来的なライバルが出来る可能性を示唆する事にもなりかねない。少なくとも俺が領地を構えるまでは放っておいても害はないだろうという形に落ち着いた。


 会うのであれば俺がそれなりの権力を手にした後が良い。可能であればその後にいきなり現れて有無を言わさず取り込む方が良いように思える。対立するのであればその時はその時だ。


 うーん、そうすると買い取る領地については今まで以上に慎重に選ぶ必要があるなぁ。


 ダート平原のデーバスと隣接する場所は全てが天領で、東西に四つの領地が並んでいる。ロンベルトの国王はそこに四人の伯爵を代官として配置し、治めさせている。将来的に俺に任せる領地は、そのうちの一番東を除く残り三つのどこかにしたがっているようだ。一番東は何とかと言う公爵だか侯爵だかデーバスの有力貴族の領地と接しており、あまりに不利なのだそうだ。その証拠に数年前にかなり派手に負けて勢力圏が縮小気味らしい。


 金さえ払えば残り三つのどこでもいいとは言ってるんだけど、三つのうち真ん中は最初に候補から外した。土地の肥沃さで言えば真ん中と東の二つだが、お陰で紛争が多い。紛争が一〇回あるとして、五回くらいが真ん中に集中しているんだそうだ。流石にそういった土地を候補にしても厳しいので国王もそちらはあまり推奨はしないと言っていた。


 国王としては最低でも一〇年くらいは俺に頑張って欲しいのだろう。


 ま、この辺りのことは後で追々語ることになると思う。


 とにかく、今はペギーとか言う、聖女様を名乗る転生者の情報を得られたことに満足しておくべきだろう。調査を急ぐ必要もない。どうせこの先聖女様も成長するだろうしな。調査に掛かる手間暇を考えれば今の情報も無いよりはマシという程度のものでしかない。直接会って【鑑定】出来る機会でもあれば狙うけどさ。無ぇし。




・・・・・・・・・




7446年6月4日


 さっさとヨーライズ子爵領を抜け、代官の治める天領だの新興貴族や大貴族の小領地なんかを北上し、バルドゥックへと到着した。転生者らしい情報を入手出来たことは大きな収穫だし、街道の地図についても正確な物が手に入ったことは一番大きな収穫だ。


 外輪山を目にして改めて気合が入る。

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