乳母やの教えは絶対
短いです
なんとか逃げ切り、その夜は久しぶりに野宿をする事になった。
「それにしても、城の方でどのような変化があったのかは知らんが、これからは宿はとらずに野宿で行く方がいいかもしれんな。行く先々の町で今回のような事があったら堪らんからな。幸い充分な食料も買い込んだし、グセナまでもう近いからな」
「そうですわね。何か足りない物があれば、通りすがりの旅人を襲うなり、民家を襲撃すれば済むことですものね」
「襲うな!」
絶対に。
即座に突っ込んでいた。なんて恐ろしいことをさらりと言う女なんだ。
「まあ、食べていけなくなったら人を襲えと乳母やに教わりましたのに」
リアティスが頬に手を添えて驚嘆して見せる。外見は聖女でも心の中はテロリストだ。
(ガードランド公……)
雇う人選をもう少し考えてくれ。
今更遅いが。
ガイウスは優秀で真面な印象だったのだから、ガイウスの乳母や教育はきちんとしていたのだろうに、なぜリアティスはこうなったのか。
乳母か、乳母が悪かったのか。それとも本人の元々の性質との相乗効果か。
(………後者っぽいな)
沈痛な面持ちでロードリックは額を抑えた。
「どうかなさいましてロック?」
「いや…、とにかく、絶対に襲うな。俺は夜盗やら押し込み強盗やらの類になるつもりはない」
ロードリックは真面目な表情でリアティスに念を押した。
どうして公爵令嬢にこんな事を念を押して言う必要があるんだろうと思わずにはいられなかったが、リアティスの事だ。放っておいたら絶対やりかねない。
「まあ、ロック肩書は立派ですのに」
リアティスが悪びれずに言う。
誘拐犯+暗殺者。
今更夜盗や押し込み強盗が加わったとして何だと言うのか。
どうしてこうなったのかと、ロードリックは深く溜息を吐いた。
「それにしても、今まで伏せられていた情報が中央だけではなく、地方に、しかもこんな国境近くにまで達したとなると、二人の王子の内どちらかの勢力が決したという可能性があるな」
今までの追手は王宮の正規兵であったが、今回は追手というよりは報償目当ての地方の警備兵だった。
伏せられていた王宮の情報が一部でも、地方の高官などには公開された可能性がある。
「どなたか一人、生け捕りにすればよろしかったかしら?」
「地方領主や自警団の連中が細かい情報を知っているはずもない。無意味だ」
「そうですわね」
ロードリックの言葉にリアティスも素直に頷いた。
この回から清書書きが無くなって、最初に書いた勢いだけの草稿からの打ち込みになるので、これまでと文章なりなんなりか変わると思います。
なにしろかなり以前に書いた作品なので、勢いは草稿の状態の方がいいのですが、話は清書書きの方が纏まっているという感じで、その清書書きも凄く以前にしたもので、最後まで書いてあるかと思ったら途中で切れていたという…。
後少しで終わりなのですが、会話のテンポとか変わってしまう部分が出てしまうかもです。




