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Children  作者: PC
序章
2/3

Part 2

プロローグが終わらない…………。

 「デミストリボナパルトカーン!!!」

 

 ヒャッホーという歓声と共に意味不明の声が飛んだ。

 

「熊五郎ー、叫ぶのは良いけど大概にねー」

 

 拳を握り、空に向かって叫ぶ少年を尻目に、安楽椅子に身体を預けた少女が手にしている本のページを捲りながら言う。

 

「ガッデムコンバートグローバルテクノロジー!!」

 

「…………なんかもう私には理解不能だよ熊五郎ー」

 

「ギャラクシードボンバー!!」

 

「…………………………………」

 

「エンポートポファー――――グボァッ!!?」

 

「あ、策書さくが先輩」

 

 空に向かって吼えようとした少年の後頭部に、分厚い辞書が命中し、少年はその場に撃沈。

 それを無視した少女は安楽椅子から上半身を起こし、部屋の入り口に佇む青年を見た。

 

 脇に長方形の木箱を抱えた青年は溜息を吐いて少年の元に歩み寄り、気絶した少年の背中に転がっている辞書を拾う。

 

「朝っぱらから煩いと思って来てみれば、またお前かよ」

 

 顎に傷跡の残る精悍な顔立ちの青年は再び溜息を吐き、大柄な身体を揺すって木箱を抱え直す。

 

「そういやぁ、部長は?」

 

 青年の言葉にキョトンとした少女は、

 

「え? 先輩も知らないんですか?」

 

「は?」

 

「へ?」

 

 二人は顔を見合わせ、そして同時に床に顔を埋めて撃沈している少年を見る。

 

「おい、起きろや熊五郎」

 

 ちなみに少年の、熊五郎とはただの愛称である。

 

 何故熊五郎と言うのかはさて置き、青年は少年の襟首を掴み、その身体を揺さぶった。

 

「おい、熊五郎。部長何処にいるか知ってるか」

 

 何回も激しく揺さぶれば、ゲフッと呻き声を漏らし、少年は薄く眼を開けた。

 

 そして、

 

「さようなら」

 

 そう言って再び目を閉じた。

 

「死ね」

 

「グブッ!!?」

 

 再び青年によって少年は床へと沈められた。

 

 

 

 

 更に十数分後。

 

「熊五郎も知らないのか……………」

 

「部長、仕事放棄して何処に行ったんですかね?」

 

「ググロボビッチンバー!!!」

 

「熊五郎うるさい」

 

「にしても、副部長も居ませんね」

 

「キューティクルハニー!!」

 

「おお、今度はまともな言葉を発したぞ」

 

「策書先輩以外の皆さんもいませんし……………」

 

「インターシッププレゼミアトラクショーン!!!」

 

「インター……、大学の校舎にでも成りたいのか」

 

「………………なんか真剣に話してるのって私だけな気がするんですが」

 

「インスプリングホッパー!!」

 

「あいつって何で何時もああなんだろ?」

 

「なんか部長が居ないとああみたいですよ。何て言うか…………不安になるみたいなんです」

 

「ぶちょぉおおおおおお!!」

 

「…………まぁ、俺も部長居ないとなんかソワソワするわな」

 

「うーん………、それは私も同じですね。と言うか、執行部の皆さんも似たようなモノじゃないんですかね?」

 

「カモンディィイイイイイイ!!!」

 

「何か、段々と意味のある叫びになってきたな」

 

「そうですね。というか、部長が恋しくなってきました」

 

「………………」

 

「あ、倒れた」

 

「部長が居なくなってから、一週間何も食べてませんからね」

 

「………………」

 

「はぁー、マジで部長に依存しちゃってるな俺ら」

 

「仕方ないですよ」

 

「………………」

 

「部長、遅いな」

 

「遅いですね」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

 

 

 

 更に数十分後。

 

「ただいまぁ」

 

「おっ、小暮か。お帰りー」

 

「小暮先輩、お帰りなさい」

 

「あら、策書に東雲ちゃんじゃん。ただいまー………ってあれぇ、部長は?」

 

「それが目下行方不明中なんだよ」

 

「そうなんです」

 

「え゛?」

 

「おい待て小暮。お前まで熊五郎のようになるんじゃない」

 

「…………それだけは止めて欲しいですね」

 

「いやいや! 熊五郎みたいには狂わないよ俺! …………ちょっと何その目!? 多少は信じても良いじゃんか!!」

 

「いやだってさぁ………」


「何時も部長の部屋に忍び込む人に言われたくありませんよ」

 

「失礼な!! 俺はノーマルです!!」

 

「そう見えないから言っとるんだろうが」

 

「そうですよ」

 

「おのれ………、もう知らない!!」

 

「あ、」

 

「小暮先輩の走って行った方向って………」

 

「……………」

 

「部長の部屋があるとこじゃね?」

 

「そうですよね?」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「暇だな」

 

「ええ」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

 

 

 

 

 更に十数分。

 

「おかえりー」

 

狂縞くるじま、それを言うならただいま、だ」

 

「お帰りー」

 

「あれ? 策書先輩に東雲だ。………と言うか、部長の匂いがしないんだけど」

 

「匂い?」

 

「部長なら行方不明だよー」

 

「マジで? ああ、匂いって言うのは、部長って香水付けてるんだよね。柑橘系の」

 

「ああ…………そう言えば、そうだな」

 

「知らなかったんですか先輩」

 

「って言う訳で、部長居ないんだよね?」

 

「うん」

 

「じゃあ、―――――――旅に出ます」

 

「へ? ―――――ちょ………ちょっと待て狂縞! 早まるな!!」

 

「ストップストップ狂縞!! 大丈夫だから部長ちゃんと無事に帰って来るから!!」

 

「止めないで!! 私は部長を探して三千里の旅に出るのよ!!」

 

 

「変な所でアニメのタイトル引っ張ってんじゃねぇ!! しかもそれ母を探して三千里じゃねぇか!!」

 

「うぇぇ………、狂縞気色悪い…………」

 

「ちょっと! 気色悪いとは何だ気色悪いとは。 俺だってコンプレックス抱えてんだよ!!」

 

「あ、ごめん」

 

「………………はぁ」

 

「この――――ヌグッ!?」

 

「………………………………………………うるさい」

 

「お、獅子吼ししくじゃないか」

 

「あ、副部長…………おはよう、ございます?」

 

「……………」

 

「うん、おはよう……………」

 

「布団引き摺んなよ。ってなに。獅子吼、今、お前起きたの?」

 

「だからパジャマ姿なんですねー」

 

「……………」

 

「………………りゅうちゃんが居ない」

 

「あん? ああ、部長なら行方不明だ」

 

「副部長は何か知りませんか?」

 

「……………」

 

「りゅうちゃんなら確か、……………ティレドン連邦国に行ってる…………」

 

「は?」

 

「なんであんな所に?」

 

「ティレドン連邦の学園の理事長に呼ばれたって……………」

 

「ああ……………、そう言う事ね」

 

「なら、いつ帰ってきますかねぇ」

 

「むー……………、今日中には帰って来ると思う…………」

 

「了解」

 

「分かりました」

 

「……………おやすみー…………」

 

「おやすみー」

 

「おやすみなさい」

 


終わった…………。

あ、ちなみにプロローグはまだ続きます。


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