第6話:神鋳の産声と、断罪の鉄槌
「判決を下す。パーティ『暁の剣』は探索者規約第十三条に違反し、同胞を故意に遺棄した。よって、資格を永久剥奪、全財産および装備品を没収とする」
ギルドの厳粛な審判所で、裁判長の冷徹な声が響いた。
ライルたちは顔を真っ青にし、ガタガタと震えながら床に崩れ落ちた。彼らの自慢だった高価な魔剣や防具は、すべて没収され、一箇所の机に積み上げられていく。
「これらはすべて、被害者であるカナタ殿への賠償金、および素材として譲渡される」
エレナの後ろに控えていたカナタは、無言でその光景を見下ろしていた。ライルが血走った目でカナタを睨みつける。
「クソが……! 荷物持ちの分際で、俺たちの地位を奪いやがって……!」
「お前たちが俺の命を奪おうとしたんだ。因果応報だろ」
カナタの冷ややかな一言が、かつてのリーダーの心を完全に打ち砕いた。
――一週間後。
王都の一等地、聖騎士団の庇護下に建てられた新しい工房。その看板には、シンプルに『神鋳』の二文字が刻まれていた。
開店初日にもかかわらず、工房の前には異様な行列ができていた。エレナの口コミ、そしてギルドでの一件を聞きつけた王都の最高位探索者や、お抱えの職人を探す大貴族たちが、こぞって押し寄せたのだ。
「おい、見たか? 聖騎士団長の甲冑を直した職人だぞ」
「まだ少年じゃないか……。本当にそんな腕があるのか?」
懐疑的な目を向けるAランク冒険者の大剣を、カナタは一瞥しただけで言い放った。
「刃の芯が歪んでる。あと三回重い一撃を受ければ折れるぞ。金貨十枚で、元の二倍の強度にしてやる」
その『万物鑑定』による正確な指摘に、百戦錬磨の冒険者たちは言葉を失った。
夜、押し寄せる客を捌き終えたカナタは、工房の奥で一人、ライルたちから没収した武器の前に立っていた。
「さあ、始めようか」
『神鋳の金槌』を握り締め、至高の熱量で元仲間の魔剣をドロドロに融解していく。裏切りの象徴だった鉄屑が、純粋なエネルギーへと精製され、金槌へと吸い込まれていった。その瞬間、金槌の芯から、これまでで最も激しい黄金の波動が解き放たれる。
脳内に響くのは、世界の理を揺るがす重厚なアナウンスだった。
【神器の封印解除率が『5.00%』に到達しました】
【第1段階の限界突破:固有権能『神の設計図:炎神の魔障壁』が解放されます】
【最高位神格武具の錬成が可能になりました】
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【神の設計図:炎神の魔障壁】
・必要素材:高純度の鉄屑、火属性の魔晶石、職人の初期衝動
・種別:大盾 / 概念武装
・神格特性:『絶対不熔』『焔の反撃』
【詳細説明】
神の叡智より引き出されし、あらゆる「熱」と「悪意」を遮断する大盾。
この盾の前に立つ者は、神の炎による加護を得て、
格上の存在から受ける物理・魔法攻撃を100%の威力で反射する。
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「大盾、か。これがあれば、どんな迷宮の深層だろうと、二度と誰の後ろ盾も要らなくなる」
カナタは新しく表示された設計図を見つめ、不敵に微笑んだ。
格上の客たちを驚かせた技術は、まだほんの序の口に過ぎない。
見捨てられた鍛冶師のハンマーが、これから世界の常識を、より深く、より残酷に叩き直していくのだ。




