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蒼井小話帖  作者: 蒼井 つばさ


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【クスッと】茶碗蒸しリベンジと、優しさを添えたひなあられ

あれは、娘が体調不良で保育園をお休みした日。

『少しでも食べやすいものを。』

と、鶏がらスープと醤油のみの味付けの卵雑炊を用意していた。


母娘ふたりで食べるのだ。

ご飯1膳分で足りるわけがないと思い、自分用には茶碗蒸しも用意していた。


出来立ての茶碗蒸しを目の前に

あ!あ!(それ頂戴)

と催促する娘に

「熱いから気をつけてね!」

と伝え、少し離れたところに置いた。


…はずだった…


だが、元々茶碗蒸しが好きだった娘は、いつの間にか手元に引き寄せ、熱々のまま頬張っていた。


「ぎゃー!」

と、熱くて泣く娘。

「ほら、“ぺっ”しな!」

慌てて器を持って来たが、熱さに悶えてるうちに“つるんっ”と喉を通ってしまい、更に泣き声が大きくなった。


そんな経験から、茶碗蒸しを目の前にするとその時の熱さを思い出すらしい。

毎回、全力で拒否をされていた。


それが何度か続いたため

『もう、暫くは茶碗蒸し作らんとこ。』

と決めたのだった。


『いつか、忘れた頃に作ったら食べてくれるかもしれないし。』

という私の思いとともに、“一旦”茶碗蒸しは我が家の食卓からは姿を消したのだ。



そんなことがあってから約1年。


最近、やたらとプリンを求める娘。

この日は、

『プリンみたいなお砂糖たっぷりの物よりは…。』

『そろそろ大丈夫なんじゃないか。』

と思い至り、夕食の付け合わせに茶碗蒸しを作ることにした。


『もしかすると、また泣いて嫌がって食べてくれないかもしれない。』


そんなことを思いながら。


だが、それは杞憂だった。


元々お出汁もプルプル食感も大好きな娘。

一瞬躊躇っていたようだったので、スプーンで一口運んでやる。

そうするや否や、今度は自分でパクパク食べてくれたのだ。


だしも飲み干す勢いで。


…作ってから時間が経っていて、すっかり冷めていたからかもしれない。

だが、あの頃は冷めていたものでも“全力拒否”だったのだ。

ひとまずは、“茶碗蒸し克服”と言っても過言ではないだろう。

また作ってやることにしようと、密かに決意したのだった。



夕食後。

私の入浴中に、ひなまつりの日に買っていたまま未開封になっていたアンパンマンひなあられを、夫に出してもらっていた娘。

ピンクのあられがハート型になっていることに気がついたようで、嬉しそうに

「ぴんく、はーとだよ!」

と、風呂上がりの私にも教えてくれた。


ピンクと白のあられは薄くシュガーコーティングされているようでほんのり甘い。

緑のあられはほんのり海苔の風味がしていて、少ししょっぱい。


「みどり、すきじゃなーい。」


と言いながら、緑のあられを自分のスプーンに乗せると


「ぱぱがたべていいよ?」


と、夫に差し出す。


その小さなスプーンには、溢れそうになりながらも白いあられも一緒に乗せるという、娘なりの優しさも添えられていた。


きっと、

『しょっぱいのだけだったら、パパがかわいそう。』

そう思ってのことだろう。


…自分の嫌いなものを押し付けただけな気がするのは、この際気のせいだということにしておこう。

この一年ぶりの茶碗蒸しには、夫も喜んでくれたので作って良かったと思えました。


ちなみに、娘の方はというと、ほぼ毎日毎食のように

「ぷりん(茶碗蒸し)たべたい!」

と言われるようになりました。


『やっぱり“好きな物”ってそうそう変わらないんだな。』

と微笑ましく思います。


…今後頻繁に我が家の食卓に茶碗蒸しが並ぶ未来を想像し、覚悟を決めたわけではあるけれど。

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