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【第三章スタート!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった  作者: 初雪空
第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて……
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人生いろいろ、非合法の被験者は言うまでもない(前編)

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

「やれ!」


 俺の命令を聞いた、ヌイグルミのような羊が鳴く。


『ミィイイイイッ!』


 警備室にいた警備員は驚くも、次々に倒れて、寝息を立てる。


「さて……」


 次の交代要員が来るまで、時間を稼げた。


 このチームの現場責任者のコードで、俺が入れられていた個室を除いて、閉じ込められた奴らがいる部屋のドアを解錠。


 次に、再び個室を訪れる。


 顔見せをしていたことで、半信半疑という様子だが、しぶしぶ廊下へ出てきた。


 閉じこもっていても、人体実験があるだけ。


 寝ている警備員を適当に縛り、猿轡も嚙ませたあとで、協力して目立たない場所へ……。


 誰もいない警備室で、俺たちは向き合う。


 お互いを信用できないため、微妙に距離を空けたまま。


「最初に、提案がある! 俺をリーダーにしてくれ! ここを脱出するまでに内輪揉めをしている暇はない」


 沈黙。


 最初に反応したのは、長い黒髪の美女。


「いいわ! あなたが、私たちを出してくれた。でも、拒否権は持つわよ? あからさまに捨て駒という命令は嫌」


「構わない。……残りは? 返事がなければ、俺はこの女性と行動するぞ?」


 それを聞いた少女が、息を吐いた。


 見たところ、小学生ぐらい。


 ダークブラウンで、短めのボブ。


 ややピンクがかった赤色の瞳で、俺を見上げた。


「I'm counting on you!(頼りにしてる)……よろしくお願いします」


 最後に、20代半ばと思われる男が、両手を広げつつの詰問。


「おい? 本当に、外へ出られるんだろうな!?」


「不服なら、元の部屋へ戻るか、お一人でどうぞ……」


 冷静に返したことで、男は言葉に詰まる。


「分かった、分かった! 俺じゃ、この状況も無理だ! 頼む!」


 降参するように片手を上げて、俺に従う意思を示した。


 俺は、ぐるりと見回した後に、リーダーとしての発言。


「この4人で脱出します! 自分の名前を言ってください。フルネームではなく、偽名で構いません。また、年齢の上下に関係なく、敬語を止めましょう。時間がかかります」


 3人は、同意した。


「俺は、サイだ」


「マリナよ!」

「メティス」

「ケンイチだ」


 さっそく、説明する。


「ここは、レトゥス製薬会社の非合法エリアだ! 警備員から聞いたが、刑務所とよく似たセキュリティ。別のエリアへのゲートを開けられるが、次のエリアではまたチェックされるわけだ……。おそらく、合法エリアとの間に傭兵のような部隊が待機している部屋がある。合法エリアへ出ても、テーザーガンか鎮静剤を打たれて、ここへ連れ戻されるか、始末されるだろう」


 黒髪の美女であるマリナは、自分の腕を組んだ。


「ええ! この敷地から自力で脱出しないと……。あなたのプランは?」


「協力し合うと言ったろ? 脱出に役立つような技能は? 俺は、観察特区にいる魔術師だ」


 3人は、怪しむような目つきに。


 それでも、マリナが発言する。


「私は、VTuberをやってる! 過激なネタとして、この製薬会社を扱い……ご覧の通り」


 両手を上げたマリナに、質問する。


「人気があると?」


 ここでリスナーに媚びても、意味はない。


 それを感じとったのか、マリナが付け加える。


「医学部を中退したの……。だから、一般人より詳しい――」

「もったいねえ! 何で、辞めちまったんだ!?」


 ケンイチの指摘に、マリナはうんざりした表情を向けた。


「医学部に入った全員が医者になるわけじゃない。ドロップアウトする人は、学年で数%いる」


「えっと……。何でだ?」


「私は、人間関係でちょっとね? 単位の取得や実習については、問題なかったけど」


 それ以上は、聞くな。


 責めるような視線に、ケンイチは黙った。


 聞いていた俺は、医学部の教授に迫られて拒絶したことでのトラブル? と思う。


 せまい業界だろうし、単位を取らせないだけで詰む。


(卒業すら無理と踏んで、早々に見切りをつけたか……)


 医学部に入る難易度を考えたら、思い切りが良い。


 俺の視線を感じたのか、マリナが言う。


「受験にかかった予備校代と医学部の学費は、バカにならないわ……。医者になってから返済する予定だったから! 一気に稼ごうと、焦りすぎた」


 大学受験レベルの化学、生物はあるし、よく使われる薬品の名前や、だいたいの用途、機材について説明できる。


 そう付け加えたら、ケンイチが口を開いた。


「借金つながりで、俺の番だ! こいつと違って、ギャンブルの借金だけどな……。パチスロ、競馬とか合法で負けが込んで、ヤーさんの紹介で裏カジノに行ったら、限界まで借りる羽目になったのさ! 役に立つスキルはないな」


 事務所でヤーさんに詰められ、この治験に応募することでチャラという話に。


「話が上手すぎるとは、思ったさ! サインして気づいたら、ここの部屋に閉じ込められていた。脱出できたら、ドヤで日雇いをするよ……。もう、こりごりだ」


 ケンイチには、注意したほうがいい。


 ともあれ、残りは1人だ。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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