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【第三章スタート!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった  作者: 初雪空
第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて……
42/45

人生いろいろ、非合法の被験者は言うまでもない(後編)

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

 最後の1人。


 女子小学生のメティスが、口を開いた。


「状況が状況だけに、正直に言う……。私は、ここにハッキングを仕掛けて逆探知された!」

「ハッカーかよ! すっげーな!? ……あ、すまん」


 また口をはさんだケンイチに、メティスが口を閉じて、ジト目を向ける。


 近くに立っているマリナが、自分の腕を組んだまま、ため息をついた。


 俺は、リーダーとして仕切り直す。


「続けてくれ」


「OK! レトゥス製薬会社の傭兵だかエージェントに捕まって、ここへ放り込まれた。すぐ動くとしたら、必要なのは私の働きだよね?」


「拘束した警備員のIDと、ここの責任者の認証によって、俺たちの移動を他のブロックへ自然なものに見せられるか?」


 ハンディタイプの端末をいじったメティスは、画面を見たままで訊ねる。


「So...(えーと……) 最長でも、警備員の次のシフトで交代が来たらバレます! サイは、どうしたいんですか? 脱出を目指すなら、全体マップでルートを決めつつ、外までのアクセス権をハックしますけど」


「このブロックだけ誤魔化して、まっすぐ脱出する場合の難易度は?」


 俺の質問に、メティスは息を吐いた。


「ここの権限で行けるところまで行って、警報が鳴ったら強行突破しかない……。海外の軍事施設と同じだと考えて! 警備室にある銃火器、ありったけ持っていこう! 警備員の制服は逆に怪しまれると思うけど」


 ケンイチが、手を上げた。


「俺は、警備員に成りすます! とりあえず、着替えるぜ」


 いそいそと物陰に行った奴に構わず、メティスに答える。


「俺たちは、ケンイチに連れられている体にしよう! 現場責任者と予備でもう1人のIDを持っていけ」


「Gotcha!(りょーかい!) このブロックから映像や音声、定時連絡は、もう細工したから……。外のブロックの権限をハックする必要はないんだよね?」


「必要ない……。むしろ、異常を検知されるだろ?」


 肩をすくめたメティスが、頷いた。


「うん……。ここのシステムも分からないし、不自然にアクセス権を求めた途端に、精査されると思う」


「全員、銃をもて! 自信がない奴は、無理にしなくていい」


 警備員の制服に着替えてきたケンイチを含めて、全員が銃を手に取る。


(黒のポリマーで、セミオートマチック……)


 警備員に支給されているらしい。


 下にライト、上にはドットサイト。


 ぴったりと嵌まるホルスターから抜いて構えると、サイトの明るい点が見えた。


 右手でグリップを握ったまま、左手で上のスライドを半分だけ後退させる。


(装填済み……)


 左手を離すと、シャッと小さな音を立てて、スライドが戻った。


 グリップの下からマガジンを落とせば、小さな穴を埋めている弾丸で残弾が分かる。


 すれる音を聞きつつ、マガジンを嵌め直す。


 予備マガジン2つなどの装備をベルトごと、自分の腰で締めた。


 他の3人を見ると――


 マリナは、手慣れた様子でチェック。


 誰もいないほうへ両手で構えたまま、しきりにドットサイトを覗き込んでいる。


「ま、仕方ないわね……」


 俺の視線が気になったのか、こちらを向いたまま、人さし指を伸ばしたままの片手によるホルスターへの収納。


(爪が短い?)


 同じく、腰にベルトを締めている。


 流れるように動いたマリナは、俺に向き直った。


「何かしら?」


「実弾なのに、手慣れていると思ってな?」


「エアガンが趣味なの……。海外旅行でも、観光客向けの射撃場へ行くわ」


 ケンイチが、割り込んできた。


「俺も、銃は好きだぜ! 映画みたいに――」


 格好つけたドロウを披露したケンイチは、うっかりボタンを押しこんだのか、拳銃のマガジンを落とした。


 ゴンッと、重そうな音。


「おっと――」

「止まれ! 人差し指をトリガーから離しなさい!」


 一呼吸で銃を抜いたマリナが、すぐに銃口を向けられる姿勢のまま、警告した。


 中腰で見上げたケンイチは、慌てて言う。


「落ち着けって! ほら、これでいいだろ?」


 トリガーにかかっていた指を離したケンイチは、立ち上がる。


「マガジンは、ないんだぞ? あんまり神経質に――」

「上のスライドを後ろへ引いてみて」


 ケンイチが言われた通りにしたら、弾丸が飛び出して、ゴンッと鈍い音。


「あ……」


「チェンバーに一発! 紛らわしい行動をしたら、警告せずに撃つわよ? いっそ、あなたは銃を持たないべき」


 慌てたケンイチは、俺を見る。


「サイ、勘弁してくれよ!」


「銃の携行は、それぞれで決めろ! ただし、『仲間を撃つ』と疑われる行動をしたときの結果も自己責任だ。ホルスターから抜くなら、覚悟しろ」


 ブンブンと首を縦に振ったケンイチが、愛想笑い。


「お、おお! 分かってるさ!」


 弾丸とマガジンを拾い、セミオートマチックに詰め直した。


 余計なことを言われないよう、すぐに腰のホルスターへ収める。


(また、トリガーに指がかかってやがる……)


 俺は、人差し指と中指をそろえて伸ばしたまま、空中で振った。


 メティスが、両手で端末を持っている。


「私は、銃を持たない……。どうせ当たらないし、私が発砲する時点でもう終わっているから」


 それも、そうだ。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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