初依頼は特捜と本庁が絡む大事件!?
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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ノートパソコンに表示されていた画面で、撃破された演出。
機動兵器のコックピットから見た視点だから、疑似的なFPSだ。
飼い猫のように隣でそれを見ている天城梨理香が、呟く。
「これで、10回目……。ギブアップしますか?」
「少し待て」
コントローラーを握ったままで、目を閉じる。
全体を把握する魔術を呼び出し、実行。
(頭痛が酷いから、使いたくないんだよな……)
あらゆるプレイが、頭の中の加速された画面で進む。
(これは……)
目を開けた俺は、隣で寄り添っている梨理香を見た。
「お前、クリアさせる気がないだろ?」
「どうして、その結論に?」
ネコのように首をかしげた、梨理香。
それを見たままで、告げる。
「ゲームバランスがおかしい! 途中でエネルギーや弾薬が尽きるんだよ! お前なら、もっとユーザーフレンドリーにできるだろう?」
それぞれで楽しんでいた男女がこちらを見るも、何のゲームをしているのかを知った瞬間に興味をなくしたようだ。
つまり、理不尽なほどに難しいと周知されている。
同人ゲームとは思えないほど作り込まれていて、お金を取れるだろう。
それなのに、梨理香はクリアさせる気がない。
俺の思考を説明せずに、ただ問いかける。
「なぜだ?」
「クリアしてください」
息を吐いた後で、梨理香に告げる。
「アルカディアを吹き飛ばすしかない! あるいは、この状況になる前に解決する」
「これ、ゲームですよ?」
あたま大丈夫ですか? という声音に、ただ答える。
「お前は、内輪だけでも教えたかったんだろ? それに大きな意味がないと知っても、なお……」
梨理香は、金色の瞳を見開いた。
構わず、独り言のように続ける。
「本川高校の事件を解決したのは、俺だ……。探偵部に依頼するのなら、話ぐらいは聞いてやるぞ?」
考え込んだ梨理香に、立ち上がった俺が言い残す。
「これだけ作るのは、尋常じゃない……。であれば、クリエイターには伝えたいことがあるはず。そもそも、完全なフィクションにしては説得力がありすぎる」
俺が見た光景には、現実と変わらないシーンもあった。
実写のようだったから、たぶん実際に起こったこと……。
そこに言及せず、俺をジッと見ている梨理香に片手を振る。
「じゃ、帰るわ!」
――数日後
俺は、生徒会室に呼び出された。
端正な顔にメガネを光らせた生徒会長が、席に着いた俺に言う。
「水鏡くん……。探偵部への初依頼を祝いたいものの、話が大きくてね? 私たちも、参加させてもらう」
「はあ……。天城が探偵部に来たことまでは、把握してますが」
安倍良高は頷き、全員が集まっているテーブルに両肘をついた。
「君へ依頼するのは警視庁……いや、警察庁と言うべきか?」
「は!?」
俺の叫びに、良高は片手を向けた。
「落ち着きたまえ……。天城くん、説明を」
「はい、会長……。ここだけの話にして欲しいのですが、私には未来予知のスキルがあります。それで警察庁に交渉しました」
言葉を切った天城梨理香は、場違いな大人の女を見た。
まだ若く、新社会人といったスーツ姿だ。
全員の視線を感じた女は、自己紹介をする。
「警視庁、生活安全部にいる稲真夕です! 階級は巡査部長……。表向きは、水鏡くんの監視というか指導のため。で、本当は天城さんの情報による秘密捜査よ!」
上下に開いた警察手帳を見せた真夕は、片手でスッと閉じた。
俺が良高を見たら、再び頷く。
「天城くんが予知したのは、近い未来に世界が滅ぶほどの事件が起きること……。残念なことに、今の東京での動きが原因らしい」
真夕が、それに続く。
「ややこしくてね? 都知事と、そのバックにいる与党の一部も絡んでいるの……。大手の製薬会社と癒着しているらしく、特捜もマークしている」
俺は、すぐに指摘する。
「高校生と接するなら生活安全だろうけど、政治的な不正だったら特捜に任せては? それから、危険分子に対応するのは公安だと思います」
「もっともな指摘だけど、私は本庁の代理人として来たの! 公安警察は監視と情報収集がメインだから、表に出てこないわよ?」
息を吐いた俺は、真夕を見る。
「何をさせたいんで?」
しかし、梨理香が答える。
「才さんは、以前に警察がお手上げだった事件を解決した実績があります。正直なところ、まっとうな手段では無理だと思います。その製薬会社で開発している新薬が未来の地球を滅ぼすのですが、今の私が言っても相手にされません」
真夕が、すかさずフォロー。
「天城さんの未来予知は、うち……警視庁で確認済み! ずっと協力してもらいたいけど、今はこの製薬会社に集中したい」
「特捜が張り込んでいる、大物の政治家と仲良しの製薬会社に? 肝心の特捜は?」
俺の質問に、真夕は肩をすくめた。
「あっちはあっちで捜査して、うちも勝手にするだけ」
現場で、もろにぶつかるパターンだ。
息を吐いた後で、質問する。
「目的は?」
「その新薬の開発をやめさせることです! 物理的に……」
梨理香の可愛い声が、生徒会室に響き渡った。
過去作は、こちらです!
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