学びへ(8)
「…………不思議なものです。見覚えのない土地、見覚えのないコンピュータとスマートフォンなのに、それほど違和感なく使いこなせているボクが…………」
「過去に、似たような経験をしていたことがあったんじゃないか?」
「…………ボクにはわかりませんけど。もしかしたらそうなのかもしれませんね」
「澪ちゃんがやってきてからまだ少ししか経ってないからなにもわからないと思うけど、この世界でやってみたいこととか、実践してみたいことはあるの?」
「…………今はまだ興味を持って行動する段階なので、まだ実践には至りません。今のボクはヨチヨチ歩きを始めた赤ちゃんのようなものです」
「そっか。今の段階だとまだ難しいよね。でもすぐにできるようになるよ! 澪ちゃん、かしこいから!」
「…………そう言ってもらえるのはうれしいです」
その言葉を最後に、会話に一段落がついた。雑談をしているものの教師の話や板書はしっかりと書き写している。オレもふたりに負けないように頑張らないと。
「ん?」
トントンと、後ろから指で叩かれた。
「やっほ。元気してる? 混ぜてもらってもいい?」
後ろからやってきたのはミトちゃんさんだった。おいおい、もう授業開始から20分ぐらい経ってるけど。
「ひまちゃん。なにやってるの。一緒の授業のはずなのにいないからおかしいなーとは思ってたんだけど」
「ちょっと用事があって授業の開始までに間に合わなかったんだ。今からでも一緒に入れてくれない?」
「あたしはいいよ、稜希もいいね、澪ちゃんはどう?」
もはやオレの同意確認はないに等しいことになっている。
「…………ボクは歓迎ですよ」
「そっか。じゃあ座らせてもらうね」
いつかの授業のように鼈宮谷さん、オレ、結月、ミトちゃんさんという順番で座る。今回は意図したものではなく、ミトちゃんさんがあとから来たので端っこというだけなのだが。
「授業、どこまで進んでる?」
「特に目立って重要な内容はやってない。結月のノートを写してもらえば十分間に合う内容だと思うぞ」
「わかった。じゃあ結月、ノート見せて。いつもはわたしがノートを見せてるんだから一度くらいいいよね」
「うぐ…………弱みを握られていると強く出れない…………」
あの結月を従えるとはやはりすごい人だ。もしもこの人に彼氏や旦那ができたら尻に敷かれるのだろう。こわいこわい。
「これでよし…………っと。じゃあ今日もがんばろっか、みんな」
今日のすべての授業が終わった。




