学びへ(6)
「最初に言っておくけど、学生生活というのは自分から能動的に動かないとあとで困ったことになるからな。誰も助けてくれないし」
「…………ふふ。それぐらい、最初にボクが行き着きそうになった環境に比べれば大丈夫ですよ」
鼈宮谷さんは柔らかい笑みを浮かべた。
「まあ、鼈宮谷さんは賢いし強い精神力を持っているから、勉強や進路ぐらいどうってことはないだろうけどな」
「…………ボクは、強くありませんよ」
「授業はどうすることにしたんだ?」
「…………できる限りおふたりや陽莉さんと同じ授業を取りたいなあ…………と思っています」
「おいおい、それでいいのか? この学校は自分の学びたいこと、興味のあることを優先して学べるようになっているんだぞ」
「…………ボクにとっては、この世界のなにもかもが興味を抱く対象です。なので、特定のなにか、という欲望がないのです」
そりゃそうか…………と納得してしまった。
「オレたちが優先して取っているのは科学とか、化学とかだな。科学技術を学んだり、生き物とはなにかを学んだり。そういう授業が多いが大丈夫か?」
「…………大丈夫です。むしろ、興味があります…………!」
「まあ、それならいいか。じゃあ今日から一緒に頑張ろうぜ。これで鼈宮谷さんも一人前の学生になったんだから」
「…………はい!」
お昼を食べ終わり、途中参加だが澪さんも正式に授業に参加することになった。
と言っても、まだ始まって3回目の授業だ。全15回のうちの最初のほうのため、今から挽回して学習内容を間に合わせるのは十分可能だろう。
「どう? 授業の内容を聞いてみてやっていけそう?」
「…………ボクは大丈夫です」
「あは…………むしろあたしたちのほうがやばそうだね。この中で一番成績が怪しいのは…………」
「オレっていいたいのかよ。ああそうだよ一番やばいよ。だが進級や卒業が危ぶまれるほどの成績はしてねえ」
「まあ、稜希も留年するほどの成績ではないよね。その点では安心してるんだけど」
「そうならないように一生懸命勉強しているつもりだぞ」
「あたしやひまちゃんと一緒に入って、あまつさえあとから澪ちゃんも入って、稜希が一番最後の卒業なんて笑えない話だからね」
「オレの評定平均、いくらだったっけなあ…………」
「…………ところで。おふたりはどうして科学や化学を学ぶようになったのですか?」
「学ぶ理由? そんな小難しい理由はないんだが…………」




