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学びへ(5)

「……………………」

 これは、鼈宮谷さん本人から、わざと情報を開示したという認識でいいのか…………? いいや、オレが鼈宮谷さんに話をする前だから、偶然か…………?

「澪ちゃんっておばけだったりするのかな。おばけだとしたらみょうに可愛らしいおばけだね」

「おばけかどうかはノーコメントということにしておくよ」

「えっ! まさか本当におばけだっていうの?」

「ああいや、必ずしもそうと断言するものじゃないんだが。オレが知っていることと重なる部分があるからノーコメントってだけだ」

「あと、ちょっと疑問に思ったのが『可愛がられるという経験が少ない』って言ったところかなあ。それは記憶喪失だから自分に身に覚えがない事態になっているのか、

 澪ちゃんの人生を通してそういう経験が少なかったという意味だったのか…………。それだったら、澪ちゃんはなにかを知っているということになるよね」

「おお、結月もそこに気がついたか。オレもそう思っていたところだ」

「あたしが先に話をしたんじゃないの! でもまあ、不思議だよね。澪ちゃんって」

「まあな」

 ドッペルゲンガー、おばけ…………鼈宮谷さんの口からあえてこの言葉が出てくるということは、なにか意味があってのものなのだろうか。いや待て、冷静に考えるんだ。

 ミトちゃんさんが出会った鼈宮谷さんと、今そこにいる鼈宮谷さん。それを繋ぎ止めるものがドッペルゲンガーだとしたら…………あの発言にもつじつまが合うのではないか。

《…………言っておきますが、『ボク』はその病院に入院したことはありません》

 ドッペルゲンガーで鼈宮谷さんがふたりいると仮定したら、片方の鼈宮谷さんが病院に入院していなくてもおかしくない。そういう理由でのものだとしたら納得がいく。

 だが…………この仮説にも矛盾がないわけではない。一般的にドッペルゲンガーは自己の認識できないタイミングで現れることが多い。

 そして本人とドッペルゲンガーが、直接双方を認識することはない。俗説として本人がドッペルゲンガーを見ると死ぬという話もあるが、本人とは鉢合わせないという証左だろう。

 仮に鼈宮谷さんがドッペルゲンガーだとしたら、『どっち』がホンモノなのだろうか。どっちもホンモノ…………ということはないだろうし。

「あっ。澪ちゃんの説明が終わったみたいだよ」

「…………お待たせしました」

「どうだった? 楽しい学生生活になりそう?」

「…………そうですね。どういう日々を送ることができるようになるのか、今から楽しみです」

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