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学びへ(2)

「ドキドキするねー」

 結月は落ち着かない様子だが、鼈宮谷さんはいたっていつもどおりの様子だ。合格でも不合格でもなるようにしかならない、そんな気概を感じる。

「鼈宮谷さんはすごく落ち着いている感じだな」

「…………まあ、不合格でもボクが死ぬわけではないので。どういう結果でもボクは受け入れますよ」

「あっ。なんか掲示が出てる」

「編入試験を受けた方へ…………だってさ。職員棟2階の窓口に行くといいらしい」

「…………行きましょうか」

「あっ。お待ちしておりました。鼈宮谷さんですね。昨日のうちにいらっしゃらなかったのでびっくりしましたよ」

「…………すみません。ボクも周りの人もすっかり忘れてしまっていて」

「試験を放棄したわけではないのであればいいんです。結果は出ていますので、今持ってきますね」

 口頭で結果を伝えるものだと思っていたが、なにかを持ってくるらしい。

「はい、こちらの封筒の中に試験の結果が入っています。そこのテーブルで開けてみてはいかがでしょうか」

 職員棟の窓口は手続きの待ち時間に立ちっぱなしにならないようにテーブルと椅子が置いてある。それを利用して休憩や勉強に使う人もいるぐらいだ。

「…………わかりました。ありがとうございます」

「いよいよだね、どうなのかな」

「こんなところで騒ぎ立てるな、別に落ち着いてみればいいだろ」

 そのへんに置いてあった定規できれいに封筒を破いていく。オレだったら間違いなくビリビリに破くだろうから、ここはやはり育ちの差というものなのだろう。

「…………逝きます」

 今、いくのイントネーション、おかしくなかったか?

《受験者、鼈宮谷澪を合格とする。学籍番号は1257125とする。学生証の受け取りは職員棟2階の窓口にて行うこと》

 緊張の糸が、ほぐれた瞬間だった。

「澪ちゃんやったね! 合格だよ! これで一緒の学校に通うことができるよ!」

「…………ふふ。ありがとうございます。うれしいです」

 そのときの鼈宮谷さんの表情は、嘘偽りのないものだった。自分の行いが人に喜んでもらえることが、本当にうれしいのだろう。

「…………職員さん。ありがとうございます」

「あはは、合格を決めたのは私じゃないので、私に感謝されてもちょっと困るんですけどね。でも、担当者いわく割と余裕での合格だったみたいですよ。

 あの成績ならもっと上の学校を目指せたんじゃないか、と言っていました。ここに入学するこだわりとか、あったんですか?」

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