得体の知れない秘密(11)
「そもそも、澪ちゃんって本当に20歳なの? 戸籍を作るときは20歳で申請したけど、あたしには…………」
「…………もっと小さく見えるということですよね。自覚はあります」
「でも立ちふるまいとか素振りから見るとあたしたちと同い年くらいに見えるし…………不思議なものだよね」
「…………自分の年齢はわかりません。ただ、親権者の同意が求められない20歳ということにしました。それに…………おふたりとそう年齢が変わらないように見えたので」
「実は澪ちゃんって歳を取らない人だったりするのかな? ほら、漫画家の荒木●呂彦さんとかいるじゃん」
「……………………」
「あれは若く見えるってだけで別に歳を取らないわけではない…………」
今、鼈宮谷さんの目が泳いだのを確認できた。
鼈宮谷さんの攻略方法がわかってきたような気がする。彼女はプレッシャーに弱い。いいや正確には、弱いわけじゃない。ウソをつくのが下手なだけだ。
「…………ピンキリですよね」
「ピンキリ?」
「…………いつまでも若い見た目でいられて嬉しい人や、年相応の見た目にならずにコンプレックスを抱く人…………ボクはどちらかと言えば後者です」
「そーなんだ。澪ちゃんはできれば年相応の見た目になりたいと…………なるほどね」
「…………ボクはおふたりと同じ歳だと思っているので、未成年だからと問題が発生することはないと思いますが…………」
「澪ちゃんの本当のこと、あたし知りたい。どういう経緯で空から降ってきて、澪ちゃんにどういう過去があったのか。それがわかれば澪ちゃんの年齢だってはっきりするし、
年齢どころか、どこから来たのか、澪ちゃんの運命の行き先がどこなのかもわかるし。そうすればこれから先も、不安なく生きていくことができるでしょ?」
「…………そうですね」
「澪ちゃん。なにか知っていることがあったら教えてほしいんだけど。今日稜希と会話していたのも、なにか理由があってのことなんでしょ?」
「…………まあ、そうですね」
「あたし、本当のことを知りたい。たしかに知らないほうがいいことだってあると思うけど、あたしは澪ちゃんの力になりたいの」
「…………む」
「ね。教えてよ」
「…………さあ? 稜希さんがきっと、本当のことを見つけ出してくれますよ」
彼女の抱えている秘密は、海よりもまだ深く、宇宙よりも広い。ただ…………それが絶望にならないことを祈るのみだ。




