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得体の知れない秘密(7)

 鼈宮谷さんに釘を刺されてしまった。どうあがいても、彼女が提示した条件を満たすまではなにも言うつもりはないということか。

「わかった。その条件を満たすまでオレから話を聞くのは封印しておくよ。ただ、直接関係のないことは聞いてもいいか?」

「…………どうぞ」

「鼈宮谷さんの願いがなんなのか、今のオレたちにはわからないけど。もしも願いがかなったらどうしたい?」

「…………願いが叶ったら、ですか。そうですね、『普通の日々』を経験してみたいですね」

「普通の日々?」

「…………友人に囲まれて、パートナーと共に歩き、未来に期待を持てるような…………そんな、小さな幸せの積み重ねを経験してみたいです」

「今の日本だと、それすらも贅沢な願いと言われてしまうのかもしれないけどな」

「…………知っています。インターネットで調べました。なんとも悲しい考え方ですね」

「なにをするにも、カネがねえからなあ。幸せをカネで買う、と言ったら失礼極まりないのかもしれないけど」

「…………稜希さんは、幸せになれますよ」

「どうしてそう思うんだよ」

「…………なんの根拠があるわけではありませんが。稜希さんの人柄なら、誰かが一緒に隣にいてくれる…………と思います」

「はは、年齢イコール彼女いない歴のオレに言えるセリフじゃねえな」

「…………人生というのは、どこで転機を迎えるかわからないものです。急に幸せになったり、急に不幸になったり。それを予測することはできません」

「急に不幸になったらたまったもんじゃねえな」

「…………稜希さんは幸せになれます。それはきっと、他の人のために自分が行動することができるからです。ボクを助けてくれたのも、稜希さんの優しさがあってのものです」

「正直最初は招かれざる客だったけどな」

「…………今のボクは、邪魔ですか?」

「まあ…………邪魔だとは思ってない。話し相手ができたし、鼈宮谷さんと一緒にいると楽しい。だからこの選択でも間違いではなかったんだなと思ってる」

「…………そうですか。そう思ってもらえているのならボクとしてもうれしいです」

「そりゃ鼈宮谷さんがなんなのか探っているのはオレだけど、それとは別にひとりの友人として見ているつもりだよ」

「…………ふふ」

 鼈宮谷さんはやさしげな笑みを浮かべた。

「…………ボクは、この先に幸せになることができると思いますか?」

「鼈宮谷さんがオレを幸せになれると言ったんだから、オレからだってそう言わせてもらうよ」

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