得体の知れない秘密(6)
「それをどうにかして探し出せば、鼈宮谷さんもなにかを話してくれるのか?」
「…………断言はできませんが、話すかもしれませんね」
彼女についての違和感。ずっと感じていた違和感。ウソをついているかもしれない可能性。手がかりを見つけ出せば、なにかを話すかもしれないと言った。
違和感の始まりは、出会った瞬間からずっと感じていたのかもしれない。出自のわからない人間。それだけでもおかしな話だが、同姓同名、同じ顔をした人物が過去にいた。
それはきっと、どこかで繋がっている。鼈宮谷さんの『物語』は、オレが考えているよりもずっとずっと長く続いていたのかもしれない。
《…………ん…………んん…………》
《――――っっ!!》
《い、い、いいい。今、女の子が、ん、って…………》
《ああ、オレも聞こえた。意識が戻るのかもしれないな》
《…………んん…………》
《こんばんは。オレの言葉は通じるか?》
《……………………》
《あたしの声も、聞こえますか…………?》
《……………………》
《聞こえているのなら返事をしてほしい。もしかして、オレたちの言葉が通じないのか?》
《……………………ん……………………》
《…………聞こえ…………ます…………》
《ちゃんと言葉も通じているようで良かったよ。あんたは空から降ってきたんだ》
《…………空から…………?》
《もしかして、なんにも覚えてないの?》
《…………わからない、です…………》
《じゃあ、覚えていることだけでもいいから教えて。そうすればあなたの身元がわかるかもしれないから》
《……………ミオ》
《ミオ? ミオちゃんって言うの?》
《…………鼈宮谷澪。それがボクの名前です…………》
《澪ちゃん。他に覚えていることはない? 覚えていることがあれば、できる限り教えて》
《…………今は、わからないです》
鼈宮谷さんと出会ったあの日。空から人間が降ってくるというイレギュラーな出来事に気が動転していたが、あの時点でおかしかったのかもしれない。
《…………今は、わからないです》
今は、ってなんだろう。つまりなにか知っていることがあった、ということか。
「空から降ってきたあの日のこと、覚えているか? 目覚めたあとのことだ」
「…………はい、覚えていますよ。言葉が通じるかどうか確認していましたよね」
「あの時点で、なにか知っていることがあったのか? それとも、降ってくる前のことを覚えていたりするのか?」
「…………稜希さん。小出しに情報を聞き出そうとしてもダメですよ。ボクは条件を提示しました。そのとおりにしてください」




