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得体の知れない秘密(3)

「そうだよ。それぐらいのお礼はしないと。礼儀ってものがあるんだから」

 礼儀を重んじるなら人と話をするのにちょっかいを出さないでくれ、と思ったが、突っ込むのは野暮なので黙っておいた。

「うーん。人と一緒に食べるものはスペシャルにおいしい。ひとりで食べるのも悪くはないけどまた違った味わいがあるよ」

「満足してくれているのなら買ってきたほうとしてもうれしいよ」

「稜希もおいしい?」

「ああ、おいしいよ。結月が喜ぶかと思って買ったがこんなに重い食べ物とは思わなかったが」

「おいしいものにカロリーはつきものだからね、仕方ないね」

 10分ほどで、サクッと食べ終えてしまった。多少はオレが食べたとは言え、過半数は結月が食べた。大丈夫なのか、胃袋。

「ふう~~~~おいしかった。今度なにかおごってあげ…………ようと思ったけど、今日のことがあるからこのデザートでチャラということで」

「ああ、それでいいよ」

「ところでさ…………」

「なんだ?」

「家に押しかけてきたあたしが言えた義理じゃないけど、稜希のお父さんやお母さんはなんでいないの? 何年か前までは普通に暮らしてたじゃん」

「なんで…………と言われてもな。普通に仕事の出張としか言いようがないんだが」

「稜希ひとり残して出張に行っちゃって大丈夫なの?」

「もともと出張や転勤が多い仕事だし、オレが中学生ぐらいまでは普通に家にいたぞ。さすがに義務教育の子どもを放置して出張に行くわけにはいかないと断っていたそうだ」

「なるほど、ある程度大きくなったから少しくらい手を離しても大丈夫という判断なのね」

「まあ、見ず知らずの子を家に入れさせることを一発OKするような親だぞ。普通の常識が通用すると思わないほうがいい」

「あは…………まあたしかに」

「なんだかんだ家にいなくてもちゃんと仕送りは振り込んでくれるし、オレは自由気ままに暮らせるし、別に今の現状に不満はないぞ」

「とか言っちゃって。本当は寂しいんじゃないの?」

「会話がなければ寂しいかもしれないが、今となっては鼈宮谷さんもお前もいるだろ。だからなにも思うことはない」

「そっか。じゃあ多少なりとも稜希の役には立ってるんだ。それならいいんだけど。あは」

「逆にオレとしてはなんでそんなことを心配するのか不思議なぐらいだよ」

「ほら、家庭内の不協和が原因でグレたり反社会的な行動に出る場合だってあるかもしれないじゃん」

「オレがそういうことをやりだすような人間に見えるか?」


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