得体の知れない秘密(1)
「要するに決定的な証拠をつきつければしゃべってやるぞ、ってことか。鼈宮谷さんも手厳しいな…………」
「…………ふふ。そうかもしれませんね」
だが、これで鼈宮谷さんがウソをついていることが確実になった。断言こそできずとも、ほぼ間違いないだろう。
「わかった。今の段階でこれ以上聞き出してもお互いにつらいだけだろうからな。今日はこのへんで引き上げるよ。邪魔して悪かったな」
「…………いいえ。稜希さんが不思議に思うのも無理はありませんし、ボクもおふたりや陽莉さんと仲良くしたいと思っていますから。いつか、平穏な日々が訪れるといいですね」
彼女は、強い人間だ。小さな身体に堅い意志と強靭な精神力を持ち合わせている。これからの未来をより良いものにするには、真実を明らかにしなければならない。
「じゃ、お腹が空いたら降りてきてくれよな」
「…………はい」
リビングに戻った。
「今日はひまちゃんと内緒話をして、澪ちゃんとも内緒話をして。あたしは蚊帳の外。不愉快極まりないんだけど」
「別に蚊帳の外にしているわけじゃない。当事者同士で話をしていただけなんだ」
「あたしは当事者じゃないっていうの?」
「少なくとも今話題になっていることに関しては当事者じゃないんだ。すまないな」
「…………ふん」
「まあまあ、機嫌を直してくれよ。ほら、駅前で買ってきたトロピカルフルーツダブルホイップマシマシスペシャルクレープ」
「えっ! トロピカルフルーツダブルホイップマシマシスペシャルクレープ?!」
クソ長い名前である。
「冷蔵庫に入ってるぞ。ちょっと時間が経ってしまったが」
「冷やしてあれば問題ないよ! いや~悪いね悪いね!」
悪いねと言いつつ躊躇なく冷蔵庫を開ける結月。悪いとは1ミリも思っていないように見える。まあ、食べさせるために買ってきたのだからいいのだが。
「いや~これ食べたいと思ってたんだよね。ちょうど買ってきてくれたからうれしいよ」
ところで、そのトロピカルフルーツダブルホイップマシマシスペシャルクレープとやら、食べ物の割にずっしり重かったんですけど。それ全部食べるのか? 夕飯は?
「お~冷えてる冷えてる。クレープは焼きたてでも冷やしてもおいしいよね~」
大きいので皿に移し、リビングに移動する。オレの分は特に買ってきてはいないが、これをひとりで食べるのはすげえ重そうだ。
「って。クレープを買ってきたことについては感謝するけど、それ以外に関してはあたし許してないんだからね」




