思い出を手に取り(7)
普通の流れ星よりも太く長く尾が引いていました!! あと火球が見えなくなったあと、ドーンという花火みたいな音がしました!!』
「うわあ…………あのときってやっぱり他に人がいたんだね」
「ま、そりゃいるだろうさ。一口に海岸と言ってもあそこは全長が60キロぐらいあるから、どの地点にいたかはわからないが。気になるのは、最後の一文だな」
「ドーンという花火みたいな音がしました! って、そんな音したっけ?」
「オレはなにも聞こえなかった。ただ眩しかっただけで、衝撃波も轟音もなにもなかった。一番近くにいたオレたちが聞こえなかったんだから、他の人が聞こえるとは思えないのだが」
「うーん、それは謎だね」
そのニュース記事のコメント欄にはさまざまなことが書き込まれていた。宇宙人などいないと嗤うもの、宇宙人が来たと信じるもの、ただの隕石だろと冷静なもの、
もう宇宙人が日本のどこかに潜伏している! と陰謀論を流布するもの。と言っても、オレたちにとってはあながち陰謀論でもないのだが。
「地表に落ちた可能性…………ってことは、火球ではなく隕石だよな。いや、隕人?」
「火球と隕石の違いってなに?」
「隕石は空から降ってくる物質全般のことで、火球は空から降ってくるときにまばゆい光を放ったものだ。今回はすげえ光を放っていたから、火球と呼ばれる」
「でも実際に降ってきたのは石じゃなくて人だったわけだよね。隕石じゃなくて…………いんじん?」
「そういうことになってしまうよな。少なくともオレたちの見たものが事実なのであれば」
「たぶん澪ちゃんもこのニュースには気がついているんだろうから、なにか思うことがあるかもしれないよ」
「降ってきた本人にどういう見解を示すか聞いてみるか?」
「こんなに話題になっていることがわかったら、澪ちゃんびっくりして倒れちゃうんじゃないかな」
「…………まあ、大丈夫だろ。鼈宮谷さんは強いし」
コンコンと、二階のドアをノックする。
「…………どうぞ」
ガチャッとドアを開けた。別にあらぬ姿だったりすることもなく、普通の部屋着でパソコンを眺めていた。
「…………稜希さん、帰ってきていたんですね。おかえりなさい」
「さっき帰ってきたところだよ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいか?」
「…………火球のことですか?」
どうやら鼈宮谷さんも同じニュースを見ていたようだ。
「ま、まあ聞きたいのはそれだけではないんだが。それはあとあとということで。今聞きたいのはその火球のことだ」




